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平和な日常~冬~4

軽い昼食を済ませると少女達は一旦寮に戻り着替えて雪広邸の新年会に出掛けることになるが、大好きなみんなが帰って来たからかこの日のタマモはいつもに増してご機嫌だった。

ハニワ兵が居ないこともあって横島は自分でタマモを着替えさせて家を出る。


「おうちどこ?」

途中着替えに戻っていた木乃香達と合流してさっそく雪広邸に向かうのだが、雪広邸の門に到着したタマモは子供心にここは何なのだろうと疑問に思ったらしい。

周囲をキョロキョロと見回し横島達を見ると、もう一度周囲を見回して考えるも分からないらしく腕組みしたまま首を僅かに傾げていた。


「ここがあやかちゃん家だぞ。」

出迎えのお手伝いさんに案内されるまま雪広邸の敷地に入る一行だが、タマモはまだ理解出来てないらしく考え混んでいる。

確かに少し離れた場所には建物があるがそれは家というよりはホテルか学校に見えてしまう。

加えて門を潜るとすぐに立派な庭園が広がるが、こちらは公園と言われた方が納得する規模であった。

立派な建物と言えばエヴァの所有する魔法球の別荘もそうだが、あれは秘密の場所であり横島やエヴァが別荘と呼ぶので家ではないと思っている。

まあタマモはそもそも別荘という言葉の意味を理解してないが。


「ここ全部がいいんちょの家なんよ。」

「いつ来ても凄いわよねー。 タマちゃんこんな広い家初めて?」

「うん。」

つい先程までは元気に騒いでいたタマモが雪広邸を理解出来ない様子で真剣に考え込む姿は微笑ましく、横島や木乃香達は笑ってしまいそうになるのを堪えながらも優しく教えていた。

正直なところタマモがすぐに理解出来ないのも仕方ないなと思うほど雪広邸は立派である。



「ようこそ、わが家へ。 あら、何か不手際でもありましたか?」

「違うんよ。 いいんちょの家にビックリしただけや。」

そんな横島達が屋敷の玄関に到着するとあやかが出迎えてくれるが、いつも元気なタマモが大人しく少し不思議そうにあやかを見つめたことであやかは何か不手際でもあったのかと気になり声をかけるも、木乃香達が笑って否定するとあやかは納得したようでホッとしていた。

まあ実際には雪広邸ではよくある光景であり、案内役のお手伝いさんはさほど気にした様子はない。

普通の一般的な子供は雪広邸に来ると両親の緊張した様子やあまりに立派な屋敷に大人しくなることも珍しくはないのだ。

ちなみに雪広邸に始めて来て驚きも緊張もしなかったのは、明日菜と木乃香くらいである。

木乃香は実家が広い屋敷であることから洋風建築を物珍しそうにはしたが驚きとまではいかずに、明日菜に関しては始めて来た時からあやかと本気で喧嘩して雪広家の人々を逆に驚かせたなんて過去があった。

なお雪広家やその親戚縁者の間では雪広邸に遊びに来て取っ組み合いの喧嘩をした明日菜の逸話は有名であり、将来大物になると半ばネタ扱いでもあったが伝説と化しているが。


「やっぱり世の中には不思議なことがいっぱいなんですね。」

「うん、ふしぎ。」

「わが家がそんなに不思議ですか?」

一方もう一人の初めて雪広邸に来たさよに関しては流石にタマモよりは常識があるためある程度は理解はしていたが、それでも不思議だと感じたようでタマモと一緒にあやかの家は凄いけど不思議だとしみじみと呟いていた。
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