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GS試験再び……

そして更に試合は進んで行き、タイガーの試合が始まろうとしていた

試合場の結界の前で目を閉じて出番を待つ姿は、一見落ち着いた様子に見える


(ワッシは……)

目を閉じているタイガーは前回の試験を思い出していた

勝てると思った試合にも関わらず、相手にビビったタイガーは何も出来ぬままボコボコに負けたのだ

あれから2年は過ぎているが、タイガーは自分が成長してるのか全くわからない状態である


一方そんなタイガーの姿を、横島達は心配そうに見守っていた

「あれは落ち着いてるのか? それとも緊張で固まってるのか? どっちだ?」

「緊張の方でしょうね。 この場面で落ち着けるなら苦労はないわ」

珍しいタイガーの様子に首を傾げる横島に答えたのはタマモである

タイガーの場合この状況で冷静になれるなら、ほぼ間違い無く勝てると言い切れる実力はあるのだ


「落ち着けないなら、せめてシロの半分でも集中力があればいいんだけど……」

タイガーの様子にタマモは思わずため息をはく

冷静さも集中力もどちらも無く、緊張で固まるのは一番マズイと言えよう


「相手は強そうな人でござるな~」

「あれ……? あいつどっかで見た気がするな」

そしてタマモに名前を出されたシロは、タイガーの対戦相手を見ていた

上半身裸で筋肉を見せびらかすようなその姿は、見方によっては変態に見える

横島はその男に見覚えがある気がするのだが、イマイチ思い出せない


「あいつは前にも居たでしょ? 令子に瞬殺された馬鹿なワケ」

「あー! そんな奴居たな~ よく覚えてますね!?」

「一回見た新人の顔くらいは覚えてるわよ。 弱すぎて過ぎて名前までは覚えてないけど……」

思い出せそうで思い出せないまますっきりしない横島に、エミは呆れたように答えていた

同じ時に試験を受けた相手くらいは、覚えておいてもいいと思うのだ


「弱いのでござるか?」

「ええ、ただの馬鹿よ」

変態っぽい見た目の割に鍛えられた筋肉で強そうに見える相手が弱い事に、シロは少し不思議そうである



「さて解説の厄珍さん。 次の試合ですが……」

「あれはエミちゃんとこの助手アルな~ 前回は覚えてないアルが、見た目の割に弱いアル」

「対戦相手の蛮玄人選手も5回目の出場ですね」

「あいつはもっと弱いアルヨ。 毎回ハッタリで相手を威嚇する手法で戦うアルが、もう誰も信じてないアルネ」

実況のアナウンサーと厄珍がタイガーの試合の解説をするが、厄珍はタイガーの試合に興味が無いらしく適当な解説である

そんなタイガーの相手は、かつて横島が受けた時の令子が変装したミカ・レイの二回戦の相手

10%の力で戦うと言って瞬殺された蛮玄人だった

彼はどうやら二次試験に出場したのが5回目らしく、最早常連となっている

しかも全力の霊力を10%とハッタリをかましたり、プロテインで作った戦えない筋肉で相手を威嚇したりする有名人だった


会場内の観客が厄珍の解説にクスクスと笑っている中で、試合は始まろうとしている

笑われて少し恥ずかしそうな蛮玄人は、余計な解説をした厄珍を睨みつけながら試合場に入っていく


(今年こそ負けられん!!)

そしていよいよ試合場に進んでいくタイガーだが、緊張がピークに達している為に厄珍の解説をまるで聞いてなかった


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