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神と人と魔の狭間で

「横島君!!」

突然現れたメドーサに誰もがほんの僅かな瞬間硬直して最初に声を出したのは唐巣と西条だった。

他の者も一瞬遅れてメドーサを攻撃するが、メドーサはやれるものならやってみろと言わんばかりに無視してただ横島に迫る。


「チッ! 神剣まで!」

殺られたと一瞬横島が殺される姿が見えた気がした者も居たが驚くことに横島はへっぴり腰ながら自身が小竜剣と名付けた神剣で受け止めていて、メドーサの魔力と横島の竜気がぶつかり衝撃波すら出てしまうほど強烈な一撃を受け止めることが出来ていた。


「やっぱ俺が狙われたなぁ。」

「へえ。 まさかボウヤ狙われてるの理解して来たのかい?」

「ああ、お前。 小竜姫様が怖いんだろ?」

何故素人に毛の生えた程度の横島にメドーサの一撃が防げたかと言えば、それは他でもない横島が一番恐れていたことだからだろう。

何度も恐れ何度も夢にすら見た最悪の事態であるが、GS試験から続けている修行に天竜童子から貰った神剣と小竜姫の竜神の装備を合わせればまだ横島を舐めてるメドーサの一撃を間一髪受け止めるくらいは出来る。

本来の歴史でも横島はこの香港でメドーサの隙を突いたのだから、所詮は人間と舐めてるうちならなんとか反応が出来た。


「誰が何だって!!」

一方のメドーサはいかに小竜姫の力を使えるとは言っても所詮は人間と舐めている横島に一撃を止められたことにプライドを密かに傷つけられていて、そこに横島が放った一言が彼女を激昂させる。

ただでさえ任務より小竜姫に固執していたメドーサは怒りのままに再び横島に襲いかかるが……。

横島はヒャクメに一瞬視線を向けると竜気を全開にして自分達が来た地下鉄の方に一目散に飛んで逃げ始めた。


「このガキ!」

メドーサは攻撃しようとした横島が逃げ出したためにそのまま追い掛けてしまう。

これが小竜姫や令子ならばまだ冷静に考えられたのだがメドーサにとって横島は虫けら同然であるし、何より小竜姫を地獄のドン底に落とすには横島の首が必要だった。


「横島君!?」

「横島さんは大丈夫なのね。 私達は風水盤を!」

「しかし横島君ではメドーサは……」

それは横島なりに考えた作戦だとヒャクメだけは瞬時に理解していた。

横島は最初の一撃で悟っている。

自分では逆立ちをしても勝てないと。

ただそれでも逃げてこの場から引き離すのだけは出来るのではないかと。

風水盤を止める為にもメドーサを他のみんなから引き離して小竜姫が戦いやすくするためにも、横島には逃げてメドーサを地下から引きずり出すしかなかった。


「あいつ……。」

唐巣と西条は流石になんとかして追い掛けないと危ないと焦っていたが、ずっと一緒に修行していた雪之丞はヒャクメと同じくメドーサを恐れて逃げたのではなく闘う意志があって逃げたのだと横島の目を見て気付いている。

自分とは違う価値観の違う戦い方を選んだ横島に雪之丞は雪之丞なりに感じるところがあるらしく、行く手から続々と現れたゾンビを蹴散らし始めていた。

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