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平和な日常~冬~4

さて大晦日の夜も残り数時間となる頃になると、横島達はテレビを見ながらのんびりとしていた。

タマモは指定席となっている横島の膝の上でニコニコとしていて、横島自身は時折来るメールに返信しつつ手持ち無沙汰なのかマジックの練習もしている。


「横島さんもよくメールしますよね。」

基本的に自身はほとんどメールをしない明日菜はマメにメールの返信してる横島を少し興味ありげに見ていた。

ここ数日横島宅に泊まっている明日菜だが夜の横島は夕方とは違いあまり騒ぐことはなく、ノートパソコンで何かを閲覧したり携帯電話でメールをしたりしている。

なんとなく横島の行動が気になるらしい明日菜であるが、毎度何をやってるのかとか聞くのも変なので横島を眺めてることが多い。


「桜子ちゃん達は日頃から結構メールくれるし、木乃香ちゃん達も帰省してからは何度かメールくれたぞ。」

大晦日の夜ということもあって横島にはいろいろなメールが来ているが、明日菜とさよは日頃からあまりメールをしないので用事がない限りはほとんどメールをしなかった。

ただ横島の場合はよく店に遊びに来るビッケとクッキのことで麻帆良に来た当初から桜子とはメールをしていたし、他にも美砂達や店の常連や占いの客なんかにもメアドを教えてるので結構メールが来ることがある。

メールの内容はたわいもないような話から勉強の解らないところに、占い繋がりで各種相談事も結構メールで来ることがあった。

ちなみに先日魔法を知らされた木乃香からは魔法に関する話を両親から知らされたことと、今まで隠さねばならなかった横島を気遣うメールが来た程度である。

正直聞きたいことはいろいろあるのが本音なのだろうが、焦って聞くつもりはないらしく横島が話してくれるのを待つつもりなのだろう。


「こうして見てると凄い人には見えないんですよね。」

少し話が逸れたが、明日菜には今の横島は本当に普通の大学生くらいにしか見えなかった。

女の子からメールが来て喜ぶ姿は年相応にしか見えなく、メールの着信音が鳴るたびに携帯電話に興味を示すタマモとじゃれついて遊ぶ姿は年の離れた妹を溺愛する兄にしか見えない。


「俺はちょっと器用なだけで普通だって。 本当に凄い人ってのはもっとめちゃくちゃなもんだよ。」

「そうなんですか? 私から見たら横島さんも十分……」

思わず凄い人には見えないと口に出してしまった明日菜に、横島はすかさず自分は普通だと主張するが明日菜とさよは半信半疑な様子である。

正直めちゃくちゃ度合いで言えば横島は天才超鈴音を越えてるのではと二人は思うが、横島的にはやはり慎ましく生活してるつもりだった。


「何を持って凄いと言うかは厳密には難しいけど、誰もが憧れるような人って一般的に見ると意外と変わった人が多いよ。」

「あの、高畑先生。 それは俺が変人だって言いたいんですか?」

「いや、一般論だよ。 一般論。」

割りと素で自分の影響力を自覚してない横島に明日菜とさよはクスクス笑いながらも呆れた表情をしていたが、そんな横島達のやり取りを見ていた高畑は何処か懐かしさのようなモノを感じたのかついポロっと本音をこぼしてしまう。

当然横島は高畑の言葉に抗議するが、高畑は一般論だからと珍しく慌てた様子で誤魔化していく。


「どうせ俺は変人ですよ。 昔っからみんなそうやって俺のこと馬鹿にするんだから。 俺の味方はタマモだけだよ。」

イマイチ話しについていけてないタマモは相変わらずニコニコと楽しそうだったが、横島が拗ねると元気付けるように横島の頭を撫で始めた。

ぶっちゃけ横島は時々拗ねるのでタマモもいい加減馴れて来たようである。


「誰も馬鹿になんてしてませんよ。 そんな子供みたいに拗ねないでください!」

三つ子の魂百までと言う訳ではないが、幼い頃からイケメンなんかと比べられて差別されていた横島は未だにその辺にはコンプレックスがあった。

高畑はイケメンとは違うが明日菜の好きな相手であると思ってるので、そんなモテる高畑に変人扱いされて少々へそを曲げてしまう。

まあ結局は明日菜やさよがなだめると機嫌がすぐに治るのだが。
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