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平和な日常~冬~4

その後高畑は困った表情を見せながらも明日菜の疑念をなんとかごまかしていくが、横島は他人事だとばかり笑って見ているだけであった。


「横島さんも人のこと笑えないですよ。 放っておくと毎日好きなだけお酒飲むし、余ったスイーツも無くなるまで食べるじゃないですか。」

しかし明日菜の追及はそんな横島にも当然のごとく向かっていく。

ここしばらくは木乃香達が横島を心配して休肝日を作ったり食べ過ぎないようにと注意しているからまだいいが、元々欲望に忠実な性格である横島は放っておくと好きなだけ飲み食いしていた。

まあ現在の横島は人間ではないので食べ過ぎは問題にはならないのだが、そんなことを知らない木乃香達は当然のこととして横島の食生活に気を付けているのだから他人事のように笑っていては矛先が横島に向いて当たり前である。


「人間食べれるときに食べておかないと明日は食べれるか分からんからな。」

「またそうやって訳わかんないこと言って誤魔化そうとする。 明日も普通に食べれますよ。」

かつて自ら育てていた明日菜に心配され追及される高畑は、一見すると困った表情ではあるがよくみると幸せそうにも見えていた。

正直なところ明日菜には高畑と話し合うことが必要であったが、それは高畑にも同じだったのだろう。

人生の全てを世界と仲間たちに捧げたような高畑に、現実を見せることが出来るのは明日菜しかいないのかもしれないと横島は感じる。

完全に他人事としてそんなことを考えていた横島は矛先が自分に向くと意味があるのか無いのか分からない話をするが、明日菜もいい加減横島には慣れてるので口では勝てないと悟り話の論点を変えないで一言でバッサリと切り捨てていた。


「わたしがつくってあげる!」

一方タマモとさよは楽しそうに手巻き寿司を満喫していた。

やはり自分で作るところが気に入ったらしく、次はどれを巻こうかと悩みながら食べる姿は本当に微笑ましい。

ただし手巻き寿司そうそう量をたくさん食べれる訳ではない。

特にタマモは自分のお腹が満腹になってもまだ作りたかったらしく、今度は横島と高畑をターゲットにして二人の手巻き寿司を作り始める。


「やさいもたべなきゃだめなんだよ。」

一応横島や高畑に食べたい具を尋ねて手巻き寿司を巻いていくタマモだが、野菜も食べなきゃだめだからと半強制的に野菜も一緒に巻いていく。


「小さいのにしっかりしてるね。」

「俺はなんにも教えてないんですけどね。」

そんな嬉々としたタマモの姿は、つい先程まで横島と高畑の食生活を注意していた明日菜に通じるものがあった。

実際タマモに日常で常識なんかを教えてるのは木乃香達かハニワ兵なので、似たようなことを言うのは当然なのだが。


そして大晦日ということもあり一旦矛を納めた明日菜だが、やはり高畑には何か不安なモノを感じたままだった。

最近の横島はタマモとさよの存在や木乃香達の努力のおかげであまり問題はないが、高畑はどうしても食生活までおろそかにして無理をしてるのではと疑ってしまうのだ。

タマモには逆らえない様子の横島と高畑を見た明日菜は、タマモに協力してもらって一度高畑の家の様子でも見に行こうかと考え始める。

最早高畑と付き合いたいとはあまり思わないが、それでも育てて貰った恩を忘れたわけではない。

もしかしたら高畑は自分を育てていたが為に婚期を逃したかもしれないと思った明日菜は、何とか恩返しをしたいと考えていく。



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