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神と人と魔の狭間で

「あらあら~、誰も居ないわね~。」

小竜姫とGS達はいよいよ待機していたホテルを出発するが、すでにホテルの従業員ですら避難していてまるでゴーストタウンのようだった。

道路も渋滞にはまり乗り捨てられた車で埋まっているし地下鉄もすでに動いてないので歩いて行くしかない。

冥子はその光景が珍しいのか式神に乗りながら、まるで観光でもするように眺めていて緊張感を台無しにしている。


「いや、居るには居るが……」

「西条君。 いいのかね?」

「悪いが火事場泥棒の相手をしてる暇はないですよ。」

ただ移動していくうちに人の姿をぽつぽつと見かけるが大半は火事場泥棒ばかりでオカルトGメンの西条の管轄ではないし、何よりそんなのまで相手にしてられないからと放置していた。

GSチームは予定通り地下鉄の路線上にある入り口と地上にあるメドーサが隠れ家にしていた屋敷の二ヶ所から地下に突入するが、小竜姫と令子達の話し合いにてチーム分けは小竜姫・令子・おキヌ・冥子・エミ・タイガーのチームとヒャクメ・西条・カオス・マリア・唐巣・ピート・雪之丞・横島のチームに分けている。

前者が対メドーサ討伐を目的にしたチームで屋敷に向かい、後者は元始風水盤を止めるチームとなる。

このチーム分けで一番悩んだのはやはり横島を小竜姫と一緒にするか離すかであるが、小竜姫の竜神の装備を与えられた横島は未熟ながら小竜姫に次ぐ実力があることから結局小竜姫とは別行動になっていた。


「しかしこれ止めても後始末が大変そうだな。」

「大変どころじゃないよ。 今回の香港当局の対応の裏には返還前に要らぬ騒ぎを起こすなというかなりの圧力があったからな。 ただでさえ中国返還に不安を感じる外資が逃げていたのに今回のこれだからな。 香港の価値は暴落するだろう。」

「暴落ねぇ。」

「あの国は日本や欧米と一緒に考えていい国じゃない。 何より国のメンツを大事にする共産党の一党独裁国家だからな。」

ヒャクメ達の元始風水盤を止めるチームはすでに地下鉄の路線に降りて歩いていたが、あまり静かな雰囲気に慣れぬ横島が後始末の話をすると西条が今回の顛末の裏側を暴露する。

どうやらあまりにお粗末な香港の対応には、返還前に不要な不安を煽り価値を落とすような避難を嫌った中国政府の対応があるらしい。

中国政府とすれば日本の神族とGSを磨り潰しても極秘理にやらせろと言っていたようだが、オカルトGメンが全面に出てきてしまい事態が膠着したのが原因だった。

一応現状ではイギリス領だがかつての大英帝国時代ならばともかく、現状のイギリスにそこまでの力などないし加えて影響力を失いつつある返還目前なだけに中国政府の圧力にどうにもならなかったようである。


「行くのね。」

「ヒャクメ様。 無理なら貴女様の判断で早期に撤退してください。」

「まかせるのね!」

そして一行はようやく地下鉄の路線にある入り口の前まで到着していた。


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