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平和な日常~冬~4

「先生も魔法使いやったんや~」

一方関西呪術協会の幹部達との話を終えた刀子は木乃香の部屋に来ていた。

刀子は自ら魔法使いであることを木乃香に明かしに来たのだが木乃香は僅かに驚きの表情を見せる程度だ。


「私は密かに近衛さんの護衛をしていたの。 必ずしも近衛さんに直接的な危険があった訳じゃないけど、近衛家の人には基本的には私のような神鳴流の護衛が着くことが多いわ。」

「神鳴流って確か、鶴子さんやせっちゃんの……」

自身も魔法関係者だと明かした刀子は自身の役割を語るが、刀子が神鳴流の人間だと聞いくと木乃香は先程と段違いに驚きの表情を見せる。

実は木乃香は神鳴流の名前はもちろんのこと、それが父である詠春の実家の流派なのも当然知っていた。

まあ従姉妹の家なので当然木乃香も遊びに行ったことがあるし、神鳴流の道場も何度か見学したことがある。

もちろん木乃香が見学に来た時には人知を超えるような修業はしていなかったが。

そして刹那が遊んでくれなくなった原因が神鳴流の道場に通いだしてからだとの過去も当然木乃香の記憶には印象強く残っている。


「神鳴流に関してはご両親から聞くといいわ。 ただ刹那に関しては麻帆良に戻ってからきちんと話す機会を作るわね。 でも出来れば責めないで話を聞いてあげて。 彼女も近衛さんとの関係をずっと悩んでたんだから。」

「せっちゃんが……」

昨夜突然両親から魔法のことを聞かされた木乃香は、眠れぬ夜を過ごしていた。

最大の疑問は魔法という力がこの世にあるのに何故世間に隠されているのかだが、同時に自身の過去も魔法という存在を考慮して改めて考え直している。

その過程は当然ながら刹那のことも考え直していて、刹那は魔法に関わるのではないかとの疑問も微かに浮かんでいた。

まあ刀子が神鳴流の人間だと明かすと木乃香がすぐに神鳴流が魔法に関わる剣術だと理解したのは、神鳴流が父の実家であることからであるが。

ただ木乃香は刹那も悩んでいたと聞くと、それが何より嬉しかった。


「私からアドバイス出来ることはとにかく焦らないことよ。 これからいろんな人に話を聞いてよく考えてみるといいわ。」

「あの、先生。 横島さんは?」

「彼は近衛さんの知る通りの人間よ。 正直私のような魔法使いから見ても彼は特殊だもの。 ただ過去に関しては私もご両親も学園長先生も一部しか聞いてないから、近衛さんの知りたいことはほとんど知らないわ。」

そして木乃香は今一番知りたい横島と魔法の関係を尋ねるが、刀子は横島は普通ではないときちんと前置きをした上で自身もほとんど知らないと告げる。


「そうなんや~ やっぱり横島さんは横島さんなんやな。」

「彼みたいな魔法使いが十人も居れば世の中が毎日ひっくり返るわよ。 本人には自覚はないみたいだし、慎ましく生きてるつもりらしいけどね。」

夏休み以降は何かと一緒に居て共に横島を間近で見てきた、刀子の魔法使いとしての言葉に木乃香は思わず笑ってしまう。

それは木乃香が横島に感じる印象とほとんど同じであり、魔法使いという立場から見ても同じなのかと思うと何とも言えず笑ってしまった。

昨夜母はからもちらりと聞いたが横島は魔法という分野においても、いつもの調子で周りを驚かせているのかと思うと父や母や刀子の苦労が見えるようである。

そして木乃香は魔法そのものよりも、魔法や横島の隠していた秘密を知った時の友人である明日菜や夕映達の反応が早く見てみたいとそれが今から楽しみで仕方なかった。


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