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その二

しばしの間、横島と銀一は互いの近況などを話し再会を喜ぶ

一方、トップアイドルと親しげに話す横島に、愛子達は会話に加われないでいた


「おっと、挨拶もせんとごめんな~ 俺は近畿剛一。 本名は堂本銀一。 よろしく!」

ポカーンとした表情の愛子達に、いつもの笑顔で挨拶をして握手をしていく


「よっ… よろしくお願いします! 私愛子って言います。 一応机の妖怪です」

「私は飛鳥加奈。 ファンなんです!!」

銀一に握手されカチコチに固まってしまう愛子と正反対に、加奈は嬉しそうに目を輝かせて喜んでいる

愛子達に続いてピートとタイガーとも握手を交わしたところで、ようやく一同は落ち着いていた


「横島君! なんで近畿君と知り合いなの! 聞いてないわよ!?」

落ち着いた愛子は、横島を責めるようにジトッとした目で事情の説明を求める


「ああ、子供の頃の幼なじみなんだよ。 なんで言わないって言われても… お前ら聞かなかっただろ?」

困ったような笑みを浮かべて説明する横島だが、愛子と加奈は納得しない

今まで黙ってたことが信じられないのだ

普通は芸能人と知り合いなら会話にくらい出るはずなのだから


「なんか秘密の匂いがするわね~」

ニコニコと笑いながら顔を覗き込む加奈に、横島は渇いた笑いを浮かべた


「横島さんって交友範囲広いですよね。 魔鈴さんも突然でしたし…」

まるで魔鈴を連れて令子の事務所に来た時に似た状況に、ピートは驚いたようにつぶやく


そんな横島と愛子達の会話に、銀一は昔を思い出し懐かしさを感じていた


「ところで横っち達は今日は学校の行事か?」

「まあな、修学旅行なんだよ。 まさか銀ちゃんに会えるとはな~」

思い出したように疑問を問いかける銀一に、横島は懐かしそうに答える


そんな和やかな室内に、事態をある程度収集した撮影スタッフと監督が入って来た


「さっきは助けてもらってありがとうございました」

横島達は監督やスタッフにお礼を述べるが、そこで監督からある提案を一つ出された


「君達、ちょっとだけ出演してみない? もちろんギャラも出すよ?」

監督は主に横島とピートを使いたいようで、横島とピートの表情を伺う


「監督! 突然そんなこと言われても困るやろ!」

監督に抗議するようにキツい表情になる銀一

横島がテレビ出演などを避けてるのは、業界内では有名なのだ


「エキストラと変わらない、チョイ役でもいいんだけど…」

珍しく怒ったような銀一に監督は驚くが、ワンシーンでもいいから使いたいと監督は食い下がる


実はこの話には銀一が知らない裏事情があった

当初このドラマには横島と魔鈴の出演も真剣に検討されていたのだ


オカルト映画やドラマが専門の監督や脚本家などが、本物のGSの出演を真剣に検討していた

だが、横島と魔鈴のマスコミには出演しないという方針は業界内でも有名である

結果的に横島と魔鈴は不可能と判断して、二流のGSを使うよりは俳優で固めた方がいいと決まり立ち消えになった話があったのである

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