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平和な日常~冬~3

次の日横島は朝からタマモとさよと明日菜と一緒にクリスマスグッズの片付けをしていた。


「クリスマス終わっちゃいましたね」

「うん」

学園主宰のパーティーに出たり木乃香達とホームパーティーをしたりと相変わらず楽しい日々だっただけに、木乃香達が帰省してお客も少ない店内でクリスマスグッズを片付けるのはどこか寂しく感じる。

ツリーやリースは買った時の箱やダンボールに入れて地下室に運んで行くが地下室にはすでに箱やダンボールがいくつかあり、ハロウィンのグッズなどが置かれていた。

横島自身はあまり物を集めるタイプではないが月日が流れるごとに荷物は増えていて、再び来年使えるようにとダンボールに中身が書かれてる荷物を見ると少し感慨深いものがあった。


「正月飾りどうすっか」

「夕映ちゃんがあんまり大きい門松はダメだって言ってたわよ。」

そんなクリスマスグッズを片付け終わると横島はすぐに次の正月飾りについて考え始めるが、明日菜により大きい門松はダメだとさっそく釘を刺される。

正直横島もさほど派手にやるつもりはないが、いろいろ前例があるので相変わらず信頼は低いらしい。

どうも明日菜は夕映達にいろいろ言われているようだ。


「うちは喫茶店だしな。 門松は要らんか。 鏡餅は作るとして後はしめ縄くらいで十分だろ。」

ただ横島としては正月は本当にたいしたことをするつもりがなく、正月飾りもさよやタマモが喜ぶかと思うからやる程度である。

ぶっちゃけ正月飾りをしたとしても何か意味がある訳ではないし、横島は歳神なんぞにいい想い出もなければ会いたくもない。

そもそも横島は高校時代に独り暮らしをして以降は貧乏だったので正月飾りも正月らしい正月も無縁だったのだ。

まあタマモとさよに正月らしい正月を経験させてやりたいだけである。


「それより問題はおせち料理だな。 あれ地方によって味や中身が違うんだよな。」

「横島さんの家の味でいいんじゃないですか?」

そのまま横島達はのんびりと店を営業するが、常連の主流である中高生がほとんど来ないため近所の住人と僅かな学生のみであった。

横島は年末年始の料理を考え始めたのか主婦向けの雑誌を見ておせち料理の中身について明日菜とさよに尋ねるも、二人は揃っておまかせすると言うと横島の家のおせち料理でいいと言う。


「家は両親が関西人だったから多分この辺と違うぞ。」

「いいんじゃない? 私は一昨年まで高畑先生と一緒だったから、スーパーでほとんど出来た物を買ってたわよ。 高畑先生って元々料理得意じゃなかったし、外国人だからおせち料理なんて全然作れなかったしね。」

明日菜達の言葉に記憶にある母が作ってくれたおせち料理を思い出し始める横島だが、関西人だった両親故に関東の味ではなかったなと思い出す。

しかし明日菜自身は過去におせち料理を食べた経験はあるも、家で作るのは基本的にほとんど出来た料理を重箱に詰めただけだったらしい。


「いいんちょの家とか学園長先生の家とかで食べたおせち料理は凄かったけどね。 でも私は高畑先生と一緒に作ったおせち料理が好きだったかな。」

過去のおせち料理の話なると幽霊の過去故に言葉少なくなるさよと対称的に明日菜は過去のお正月の話をするも、意外と楽しくやっていたようである。

まあ昨年は一人で寮だったので寝正月だったようだが。


「料理なんてやったことない奴だと大変だからな。」

「最初の頃は本当に大変そうだったわよ。 高畑先生料理なんてしたことなかったって言ってたし」

過去に想いを馳せる二人は懐かしそうにおせち料理からかつての日常の話になるが、それは高畑の苦労と失敗の話が圧倒的に多かった。


「高畑先生も誘ってみるか。 最近はボランティア行ってないみたいだし、正月は暇だろ。」

明日菜の昔の話を聞いていた横島は、突然思い出したように高畑も正月一緒に過ごさないかと誘うことにする。

横島も特に理由や考えがある訳ではないが、あのタイプは一人にするとろくなこと考えないのではと少し心配にもなっていた。

下手に考え過ぎてまた魔法世界に深入りしても高畑の為にはならないだろうと思うと、明日菜の為にも誘った方がいいだろうと思ったのかもしれない。


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