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GS試験再び……

その後西条は美智恵と軽く打ち合わせをして、書類審査会場へ向かった

それと同時に二次試験開始時間が迫っている会場には、続々と観客や受験者が集まっている


無論その中には六道女学院の生徒達も多数おり、あらかじめ用意されていた席に集まって来ていた

やはりここでも六道女学院の生徒への対応は特別である

まあ六道家の力があれば当然とも言えるが、同時に業界内での六道女学院の生徒達への期待度の結果とも言えるのだ



「あら、おキヌちゃんじゃないの。 そういえば、六道女学院の三年は見学に来るんだったわね」

大勢の人に混じって席に移動していたおキヌとかおりと魔理の三人は、突然背後から美智恵に話し掛けられていた


「こんにちは 来てたんですか!?」

「ええ、オカルトGメンとしても新人GSの実力は把握しておかないとね。 それに、相変わらず人手不足だからスカウトも兼ねて来てるのよ」

美智恵に話し掛けられたおキヌは、先程までの複雑な表情が幾分明るくなり答えている

予想外の事で動揺が隠せなかったおキヌだが、美智恵の笑顔を見て少しホッとしていたようだ
 
 
(この人が美神美智恵さん……)

一方おキヌと一緒に居たかおりと魔理は、初めて見る美智恵に緊張して立ち尽くしていた

その存在感はさすがであり、一流の霊能者としての風格があるように見える


(以前の私でしたら、一瞬で舞い上がっていたのでしょうね)

初めて見る美智恵に緊張が解けないかおりだが、その反面心は驚くほど冷静だった


(たった一人で娘をアシュタロスから守った人か……)

あの日聞いた横島の苦しみやルシオラへの想いは、今もかおりの心に深く残っている

だがそれと同時にたった一人で令子を守った美智恵の事も、かおりは気になっていた


(互いに大切な人を守りたかっただけなのに……)

かおりには今だに何が正しくて何が間違ってるのか、わからないままだった

横島がルシオラを守りたかっただけのように、美智恵も令子を守りたかっただけなのだろうと思うと、かおりには美智恵を嫌う事は出来なかったのである

美智恵や令子の裏側や横島への対応の悪さは聞いていたかおりだが、目の前の美智恵がそんな人間には見えない

無論、あの日唐巣や雪之丞が言った事を疑っている訳ではないが、何か理由があるのではと思っていた


そして魔理もかおりと同じく、美智恵を見て考え込んでいる


(立派な人にしか見えないけどな…)

その風格やおキヌに対しての優しさなどをみれば、話に聞いたほど悪い人には見えなかった


(まあ、誰でも裏表はあるしな…… 見た目で信じちゃダメなんだろうけど)

魔理の場合はかおりよりは世間を知っているがゆえに、見た目と実像が違う人間が居るのも理解している

不良として世間から冷たい仕打ちを受けて来た経験があるだけに、善人そうな人間に限って裏があるのも知っているようだ


(………)

美智恵を見ながらあの日聞いた話を思い出していく魔理だが、やはり答えは見つからない

横島の立場なら許せないとは思うが、逆に美智恵の立場に立つときっと違う答えが出るのだろうと思う


(横島さんとこの人達の和解は永遠に無いだろうな)

何もわからない魔理が唯一わかったのは、横島と美神親子が和解することは不可能という現実の一部だけだった

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