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新しき絆

かおりと魔理は心配そうにおキヌを見つめる

励ましの言葉をかけたいが、2人共横島をほとんど知らない


実際に会った時のはかなり前だし、イメージと話に聞く人物が全く合わないので、よくわからないのである


「仕事中には会うんでしょう? なら話とかしないのですか?」

かおりは悩みながらも、おキヌに事情を聞く


実は、おキヌは今まで事務所の話を他人には話さなかった

かおりや魔理は友達だが、だからこそ言えないことばかりなのだ

理由は六道女学院での令子のイメージにある


強くて、美しくて、優しくて……

何でも出来て完璧な人間、まるで神のような扱いである


アシュタロス戦後はそれがより進んでいた


最上級魔族による核ジャック事件

あの事件は、神魔族を別世界の存在に感じていた一般人達にも、強い衝撃を与えた


そして、神話に登場するような魔族から、人類を守り勝利した

偽物の情報で、令子は英雄になっている

その後は噂が噂を呼び、令子はすっかり生き神様のように、もてはやされている

裏には、同じく英雄として世界的に有名になった美智恵の野望もあるが…

誰も知らない


そしておキヌは、令子のあまりに実像と違うイメージに、事務所での出来事や話は全く言えなかった


「横島さん3年になってからは、ほとんどバイトに来てないんです。 たまに来ても仕事が終わればすぐ帰っちゃうし… 最近は、シロちゃんとタマモちゃんがいつも、横島さんの周り居るから、私は話すタイミングが無いんです」

おキヌは少し悩んだが、当たり障りの無い部分だけを話した

かおりや魔理の令子に対するイメージを壊したくないから…


「うーん… やっぱりよくわかんないな~」

魔理は横島に対してのイメージが合わなくて首を傾げる

かおりや魔理のイメージでは、横島がおキヌに冷たいなんて考えられない

しかも、情報が少なすぎて判断出来ない

そもそも何故おキヌや令子が、あんな男の相手をしてるのか、理解出来ないのだから仕方無い


「ごめんなさいね。 やっぱり私にはわからないわ… 私達が軽はずみに言える問題では無いですから…」

かおりは申し訳なさそうに謝った

真面目なかおりは、簡単に励ますのも楽観的に決めつけるのも出来なかった



結局、おキヌは決断出来ないまま、午後も悩み続ける

美智恵によってもたらされた刺激は、おキヌが今まで目を背けて来た現実を、見させるキッカケとなる


おキヌは気が付いてしまう

最早、自分が望んだ事務所が無い現実に…

そしていつの間にか、遠い存在になった横島に…


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