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新しき絆

そしておキヌは…


学校の授業中もずっと浮かない表情で悩んでいた

「は~…」

何度目かわからないため息を漏らし、再び俯く


そんなおキヌの様子をクラスメートは心配するが、バレンタインなので深く聞かない

クラスには少なからず、おキヌのように悩んでる人がおり、だいたいは今日のバレンタインに関しての悩みである


一年に一度のこの日

女の子から告白する絶好の機会なのだが…

若い女子高生達には勇気のいるイベントであり、悩みが尽きないようである


お昼休みになり、おキヌは昼食も食べずに校庭の隅で、複雑な表情で景色を眺めていた


「おキヌちゃん、大丈夫か?」

現れたのは一文字魔理と弓かおり

2人はあまりに浮かない表情の、おキヌを心配して探しに来たのだ


「また、あの男のことで悩んでるのですか?」

かおりは心配半分、怒り半分でおキヌを見ている

怒りはもちろん、相手の横島への怒りである


「うん… 今朝、美神さんのお母さんにちょっと言われて…」

おキヌは2人に笑顔を見せて答えるが、力ないその笑顔は余計に2人を心配させた


「あの美神美智恵さんにか!? 凄いな~ あたしなんか見たことも無いよ!」

魔理は少し興奮気味に話すが…


「一文字さん!」

緊張感のない魔理はかおりに睨まれる


「好きなら告白しなさいって、言われたんです…」

おキヌは相変わらず浮かない表情だが、ポツリポツリと話を始めた


「私は、あの男の何がいいのか全くわかりませんが… 氷室さんが好きなら、告白すべきだと思います。 まあ、あの男と氷室さんは釣り合わないと思いますが…」

かおりの言葉には横島に対して、かなりトゲがある

クラス対抗戦の時や、クリスマスの時のイメージしかない為、最低な男だとすら思っている


「まあな… あたし達には、あの人のどこがいいかわからないんだよな~ おキヌちゃんなら、もっといくらでも相手選べるしな」

魔理も、何故おキヌが横島を好きか理解出来ない


「横島さん、誤解されやすいから… 本当にツラい時や苦しい時は、凄く頼りになる人なの」

おキヌは横島の良さを伝えようと話すが、2人はイマイチ理解に苦しむ 
 
「そう言えばタイガーも、横島のこと悪く言えば怒るんだよな~」

魔理は不思議そうに考えながらも、ふと思い出した


「あら、雪之丞もよ? 理由を聞いても答えないの! その割に悪く言うなって怒るんだから!」

かおりも同じく、雪之丞と似たような話をしたことがあるようだ


「タイガーさんも、雪之丞さんも友達だから言えないんです」

おキヌは更に表情が悲しそうになり、うつむき呟く


「……」

かおりと魔理は顔を見合わせるが、理解出来ない


「おキヌちゃんなら、告白すれば成功するんじゃないか?」

魔理はおキヌを励まそうと明るく話しかけるが…


「少し前に…、気が付いたんです… 事務所の関係が、昔と変わってしまったのに… 私、ずっと横島さんとゆっくり話をしてないんです。 何が変わったのか、何故変わったのかわからないけど… 横島さんは私や美神さんを見てない気がするんです…」

おキヌは俯いたまま、力無く呟く

それは確たる証拠がある話では無く、いつの間にかそんな関係になっていた

おキヌは少し前から不安を感じつつも、ずっと気のせいだろうと、思い込もうとして来た

しかし、美智恵にあんなことを言われて不安になっている


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