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平和な日常~冬~3

同じ頃近衛邸ではクリスマスとは無縁な雰囲気の中で近右衛門と穂乃香が二人っきりで話をしていた。

内容は木乃香と木乃香の友人への魔法の情報開示の件は元より、東西の魔法協会の現状から今後についてもあり話し合うべき案件はいくらでもある。

麻帆良学園も二学期が終わり穂乃香は近日中にも木乃香の帰省に合わせて京都に戻るので、帰る前にある程度話を纏めねばならない案件が多かった。



「木乃香の件はいいとして、他はまだまだ難題山積ね」

そもそも穂乃香が麻帆良に来たのはパーティーに出席する木乃香に宝飾品を届けに来たという表向きな理由と、木乃香へ魔法の存在を明かすかどうかの見極めなどの裏の理由もある。

そして東西の魔法協会の協力などについても当然ながら関西の幹部には進展を期待されている。

まあ木乃香への魔法の情報開示の件については魔法世界の消失など将来的な問題から教えるかことに決めたし、懸案だった横島に関しても協力を取り付けたので成果としては決して悪くなかった。

ただ横島の協力は予想もしなかった方向に向かったが。

現在関東魔法協会は横島から提供された各種情報で多忙を極めているが、関西も他人事ではなく土偶羅からは関西呪術協会関連の情報も当然ながら提供されている。

こちらに関しては現状ではまだ詠春にすら知らせていなく、というか穂乃香は帰ったらまずは横島の件を詠春に報告しない限りは話にならないだろう。

情報が何よりも強い力を持つのは関東も関西も関係なく、横島側から提供された情報は詠春の権力基盤を盤石にするだけの力を秘めている。

加えて穂乃香には制限無しの資金提供も芦優太郎を通して土偶羅から持ちかけられていた。

正直穂乃香自身もあまりの厚遇ぶりに戸惑ったが、芦優太郎からは頼むから東西の協力を一日も早く進めてくれと言われている。

その点で言えば東西の現状に危機感を抱いているのは近右衛門や穂乃香と同じであり、情報や金で片付くうちになんとかしたいとの土偶羅の考えが分からないでもなかった。


「まだまだ前途多難じゃからのう」

結果として穂乃香は想像以上の成果を関西に持ち帰ることになるが、その扱いが難しいのは近右衛門達と同じである。

加えて東西の協力についてはメガロを始めとして面白くない者達もまた多い。

今のところメガロは完全なる世界の追跡調査に忙しく要らぬちょっかいは出して来ないが、いつまでそれが続くのかは定かではない。


「魔法世界の情報は正式に関東からの協力にするわ。 関西からは国内の情報提供と神鳴流を含めた人材を提供出来ると思う」

最終的に穂乃香は関東魔法協会から魔法世界の極秘情報を関西に持ち帰ることを一番の成果とするようだ。

資金提供については横島側のみならず雪広と那波からも協力体制の一貫として正式に関西呪術協会に行うことも提案はされたが、現状の東西関係では対等な協力以上はまだ難しい。

尤も雪広・那波を中心とした麻帆良派と関西呪術協会に所属する人員の企業や団体との交流の活発化は行うことで合意していて、これに関して関西が受ける利益は少なくないだろう。

ともかく今後は詠春と穂乃香への支援を増やして東西の関係をいかに迅速に進めるかが課題であった。


ちなみに今回の成果である情報の提供に関しては、実のところ関東魔法協会が得るものはあまりないのが実状である。

本来日本国内に基盤の弱い関東魔法協会は国内情報にあまり精通してないことから相互協力の一貫として国内情報を関西から受けることにしたが、近右衛門自身には土偶羅から最低限の国内情報は入手可能なのだから。

ただ歴史と伝統ある関西呪術協会のメンツを潰す訳にはいかないので、あまり得るものがない情報提供でも進める必要があった。

後はいかにして双方の協会内の人員を納得させ協力していくきだが、こちらは協力する実利を与えながら時間を掛けていくしかない。

正直東西の協力に関しては当初の対完全なる世界から対メガロに移行したといえる。

無論完全なる世界も油断は出来ないが、彼らよりは魔法世界の崩壊やそれに絡むメガロの崩壊や暴走に対処するのが優先となるのは当然だった。


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