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その二

愛子と加奈はガイド本を調べるが、暗記するほど読んだ愛子ですら全く知らないのだから書いてないようだ


「すいませーん、みんな居なくなったけどなんかイベントあるんですか?」

「今日はテレビドラマの撮影をしてるみたいですよ」

調べるより聞いた方が早いと感じた加奈が店員に聞くと、あっさり教えてくれる

どうやら店員の人も行きたいらしく、残念そうな表情であった


「ドラマだって!! 誰かしら?」

「気になるわねー さっそく見に行くわよ!!」

加奈と愛子は予定外のイベントにテンションが上がり、横島達を引っ張るように足早に店を後にする


「僕はあまりテレビは見ないんですがね…」

流されるまま走るピートは芸能人と聞いてもイマイチなようだ

そもそも、ピートの住む唐巣の教会は極貧生活であり、電気が止まることは良くあるのだ

テレビのような娯楽に電気代を使う余裕は無い

横島や魔鈴は、唐巣とピートの食生活には気を使うがさすがに電気代までは関与しないのだし…


「誰ですかいノー」

一方タイガーはドラマの撮影が楽しみらしく笑顔である

珍しく乗り気で、一応ピートよりは人間らしい生活を送ってるようだ


「にしても、人が多いな~」

まるで民族大移動のようである

テーマパーク内に居る人がほとんど同じ方に走っていく

横島はその中でも女が多いことから、相手が男だと予想していた



そんな横島達が撮影現場にたどり着くともの凄い数の見学者がおり、中には横島のクラスメートもたくさん居る


「これじゃ、見えないじゃない!!」

愛子は出遅れた事を悔やみつつ、ぴょんぴょんとジャンプして誰がいるのか見ようとした


「タイガー君、誰が居るかわかる?」

身長が低くく人混みしか見えない加奈は、タイガーに確認をさせる


「ちょっと待ってつかさい。 あれは…」

人混みの中でも頭一つ以上高いタイガーは、撮影現場を見て芸能人を探していく



その頃、彼は撮影の打ち合わせをしていた

「こんなに人集まって大丈夫なん?」

チラッと見ると人混みはかなり集まっており、とても撮影出来るとは思えない


「そこが狙い目なんだよ、近畿君。 人混みを即興でエキストラにしようと思う。 突然の悪霊に逃げ惑う客にはぴったりだろ?」

監督らしき人物は自信満々に自分の考えを述べるが、あまりいい顔をしない人達もいる


「ほんまに大丈夫ですか? 間違って怪我でもしたら…」

少し不安そうに意見する少年も、あまり乗り気では無いようだ


彼の名は近畿剛一


本名は堂本銀一


そう、横島の幼なじみであり未来でも横島と関係の深かった人物である

そしてこのドラマは、踊るゴーストスイーパーの初回の撮影であった


未来においてトップアイドルだった銀一が、本格派な俳優として歩み出すキッカケとなったドラマであり

このドラマの映画化の折りには横島と再開を果たした作品である


そんな、重要なドラマの撮影に何故か居合わせる横島

これには横島だけでなく、魔鈴やドクターカオスですら予想も出来なかった展開である


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