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平和な日常~冬~3

前代未聞の世界樹ツリーは麻帆良市の大半から見ることが出来ていた。

突如闇夜に現れた幻想的な巨大ツリーに麻帆良の人々は何事かと騒ぐが、それが超鈴音と工学部のイベントだと知ると驚きはするがみんなあっさり納得出来てしまう。

加えて地元のケーブルテレビや芦コーポレーションのSNSカグヤでは同時に急遽世界樹のクリスマスツリー化について特集を組んでおり、そこにはスポンサーとして超包子の名がデカデカと放送されている。

世界で唯一実用化に成功してる貴重な技術を惜し気もなくイベントに使うところも超の凄さなのだろうが、一方で学園側と魔法協会では産業スパイの類を警戒してイベントの警備を強化してもいて近右衛門はこれまた苦労しているが。


「うわ~、凄い人!」

突如始まった世界樹ツリーのイベントの影響で世界樹の周辺には続々と見物人が集まり出していた。

横島達と同じく事前に予告があったイベントを見に来た人も居るが、ド派手な世界樹ツリーに急遽集まって来た人達も多い。

ちなみに世界樹がある世界樹前広場ではすでにお祭りのような屋台がたくさん出ていて、超包子は当然として雪広グループと那波グループの屋台もちゃっかり出ている。


「そういや屋台出さないかって誘われたっけ?」

そのまますでにお祭り騒ぎになってる世界樹前広場に入った横島は、この寒い真冬に屋台まで出す面々に驚くが良く見るとほとんどが納涼祭で顔なじみなメンバーだった。

実は横島も先月に超から屋台を出さないかと誘われていたが、学園主催のパーティーの準備やなんかで忙しい上クリスマスイヴはゆっくりしたいからと断った経緯がある。

横島としてはすでに忘れかけていた記憶だったが、まさかここまで派手なイベントをやるとは思ってもいなかった。


「あいつも少しは大人しくしてられんのか?」

「超さんも多分、横島さんにだけは言われたくないと思うわ」

横島自身は納涼祭で多少懲りたので相変わらずお祭り騒ぎをやる超鈴音には素直に呆れていたが、明日菜によって横島にだけは言われたくないだろうと扱く尤もなツッコミを貰うことになる。

当然周りの少女達も同意見だとばかりに頷いているが、横島としては最近は大人しくしてるつもりであった。

つい先日学園主催のクリスマスパーティーにおいて目立ったことなど、横島にとっては些細なことである。


「おまつりだ!」

「お祭りだね!」

そして予期せぬお祭りに一番興奮していたのはタマモと桜子であった。

体育祭以降はお祭りらしいお祭りがなかっただけに、久しぶりのお祭りにタマモはキョロキョロと走り回るほど喜んでいる。

木乃香達はタマモが迷子になるのではと心配そうだが、それでも桜子がタマモと手を繋ぎ同じテンションで一緒に走り回っているのでまだ止めるまではしてないようだ。


「クリスマスかぁ」

世界樹前広場から見上げる世界樹ツリーは首が痛くなるほどの角度だが本当に美しかった。

周りを見渡すとみんな上を見上げてるため少し奇妙な光景だが、横島はふと自分の周りで同じく上を見上げる少女達を見てシミジミと自分の環境が変わったなと改めて自覚する。


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