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平和な日常~冬~3

一方ご機嫌な様子のエヴァとチャチャゼロとタマモは、横島の店でスイーツと紅茶で寛いでいた。

長年苦しめられていた呪いから解放された喜びは一塩のようである。


(お姫様か……)

ようやく取り戻した自由を満喫していくエヴァであったが、それでも先程アルが語ったお姫様という言葉がふと少し気になった。

真っ先に思い浮かんだのは木乃香のことだが、アルの言葉のニュアンスを考えると違うだろう。


(奴め、何を企んでいる?)

基本的にアルが何を企もうが自分には無関係だと思うエヴァだが、同時に自分の周りをあまり好き勝手に引っ掻き回されるのを好む訳でもない。

ただ横島はともかく近右衛門は事情を知ってそうだし、近右衛門ならばアルの好き勝手にはさせないだろうと理解している。

今のところエヴァは近右衛門にもアルにも積極的に関わるつもりはないが、近右衛門が筋を通して対価を支払うならば最終的に助けてもいいとも思っていた。

少なくともここ最近の麻帆良での生活を、エヴァもまた割と気に入っているのだ。


(やはり西洋魔法は専門外だが……)

そして横島に関しては初めて魔法を使う姿を直接見たが、驚きであると同時に得た情報も多かった。

そもそも西洋魔法に必須な魔法の始動キーが横島は誰にでも使える初歩の始動キーだったのだ。

一般的にある程度の実力があれば専用の始動キーを用いることが当然であり、初歩の始動キーで難易度が高い魔法を使ったことは常識外であると同時に横島が西洋魔法を専門にしてない証である。

結果として魔法を使う姿を見ていたエヴァが出した結論は、自身が考えていた以上に横島は魔法が得意だということだ。

専門外の西洋魔法で高難易度の魔法を易々と使った上、呪文の詠唱も魔力の使い方も素晴らしいとしか感じなかったのだから。


(相変わらず底が見えないしな)

一言で横島を表現するならば違和感を感じるということに尽きるのだが、エヴァは自身ですら違和感だらけで底が見えない横島が素直に面白いと感じていた。

高い魔法技術ですら誇るどころか気にも止めない横島は見ていると本当に面白いのだ。


「今日さ、木乃香ちゃん達とクリスマスパーティーやるけと、参加するか?」

「私はいい」

「そっか、なら料理包むよ」

そのままタマモとチャチャゼロと楽しくお茶をしていたエヴァだが、流石に横島にクリスマスパーティーに誘われるとそれは断っていた。

正直中学生の馬鹿騒ぎにはついていけないので参加したいと思わないようだ。

誘った横島もある程度答えを予想していたらしく、エヴァとチャチャゼロの分のご馳走を帰りに持って帰らせるらしい。


「いっしょにぱーてぃーしないの?」

「私は人が多いのは好きではないからな。 一緒に食事をしたければお前達がまた家に来るといい」

そして横島がエヴァ達をクリスマスパーティーに誘うとタマモは嬉しそうな表情をするが、断られると明らかにがっかりしてしまう。

タマモ的にはみんな一緒が楽しいのだろうが、流石にエヴァとしてはそこは譲れないらしい。

まあがっかりするタマモを元気づけるようにと、また家に来るようにと誘ってもいたが。

本来自分のテリトリーに他人を入れるのを好まないエヴァとしては、これはかなり気を使った方だったりする。

結局タマモはまた近いうちに遊びに行く約束をしたことで機嫌を直していた。


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