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GS試験再び……

(これが無ければ、いい人なんですがね)

プライドが高くすぐに自分と相手の事を比べたがる西条に、魔鈴は静かにため息を飲み込む

社会貢献や弱者救済などと言う事を本気で考え、時には自らの財産を使っても事件を解決する西条

しかしその割に西条には人望が無い

理由として基本的に上から目線な事、それから男女に対する行動があからさまに違う事などがある


「ずいぶん高く評価してるんだね。 確かに彼は強いが、だからと言ってGSとして成功するかは別問題だよ」

少し驚いた感じの西条は、魔鈴が本気で言ってるのか半信半疑だった

GSは戦えればいい訳じゃなく、様々な知識や技術でいろいろな霊症を解決しなければならないのだ

戦う以外に興味の無い雪之丞にそれが出来るとは、西条には思えなかった


「西条先輩にこんな事を言うのは失礼かもしれませんが、西条先輩は今の雪之丞さんを知りません。 若い雪之丞さんは今が成長期なんです。 私は彼さえ望めば、私の魔法技術を教える事も考えてます」

西条の言葉に少し不愉快そうな表情になった魔鈴は、自らの考えを本気だと言い切る
 
そんな魔鈴の言葉に驚いたのは西条だけで無く、エミも驚き魔鈴を見つめていた


「魔鈴君……」

西条は言葉が続かないほどの衝撃を感じている

今まで魔鈴が自分の技術を他人に教えようとした事など一度も無い

かつてイギリス時代には様々な国やオカルトGメンの研究機関などから、是非復元した魔法を教えて欲しいと言う依頼が殺到していた

しかし魔鈴はそんな依頼を全て断っている

理由を聞かれても、自分が信頼出来る人にしか伝えるつもりは無いとしか言わない

そんな魔鈴がそこまで考えていたとは、西条は思いもしなかったようだ


「君は変わったな」

久しぶりに話した魔鈴に、西条は以前とは全く違う印象を受けている

以前の魔鈴に見え隠れしていた孤独感が無く、幸せや信頼感に溢れていた


「私が変わった?」

西条の言葉に何かを変えたつもりの無い魔鈴は、驚きの表情を浮かべる


(君が原因か、横島君……)

自分を無視して黙々と食事をする横島を、西条は静かに見つめていた


(何故、君の周りには人が集まりみんな笑顔になるんだ)
 
西条は以前の令子の事務所を思い出していく

馬鹿でプライドも持たないダメ人間だとすら思った横島の周りには、いつも笑顔が溢れている

それは最近の令子には無くなったものだった


「なんか俺に用か?」

西条に見られていた横島はようやく口を開くが、その表情は無表情で冷たいものである


「君は令子ちゃんに何をした?」

その瞬間、周囲が凍りつく

まさか西条がその事を横島に言うとは誰も思わなく、タマモですら予想外だったのである


西条が思い出していたのは以前の令子だった

強く美しかった以前の令子を無くしたのは、他ならぬ横島なのだ

令子に告白したあの日から、西条は令子の中に居る横島と戦っている

格下と見下していた横島の存在感がいつまでも消えない事に、西条は次第に苛立ちを募らせていたのだった

横島が令子の元を去った事は自分には有利だと思っていた西条は関わるつもりなど無かったのだが、横島を見た瞬間に許せない気持ちが溢れていた
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