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新しき絆

この時の美智恵の最大の過ちは、タマモとシロが居る場所で話したこと


美智恵はシロは精神的に幼すぎると思ってるし

タマモは横島に懐いてはいても基本的に素直じゃないし、人に対して距離をあける性格な為、まさか横島と魔鈴の味方にいるとは考えもしない

美智恵はタマモを甘く見ていた


「ママ最近変よ? 何かあれば横島横島って! 甘やかすとつけあがるだけなのよ!」

令子は今までの不満をぶちまけた

ここ最近は給料がどうとか、待遇がどうとかいちいちうるさくて、かなりストレスが溜まっている


そして、これが令子の本心である

令子の中の横島は、馬鹿でスケベでどうしょうも無い

自分が飼い慣らさないと、大変なことになる


そう…

令子の中の横島はアシュタロス戦前で止まっている


どんなに酷い扱いをしても、虐待をしても変わらない

すぐに元気になり馬鹿をやる横島

何があっても、自分をいつも見つめ続けた、かつての横島である


令子は無自覚だが、そんな横島を求めていた

そしてその気持ちが、現在の横島を見ようとしない最大の理由でもある


令子は認められなかった

ルシオラの愛情で成長したあの時の横島を…

自分の手元から離れて遠くに行きそうなほど、成長した横島を…


アシュタロス戦でルシオラを失った後、横島は表面上元に戻った

それはあの戦いの中でも、令子が無自覚に求めていた横島である


そして…

令子はそんな横島に疑問も持たず、心底安堵していた

これで全て元通りだと……


そしてそれは、キヌも似たようなものである

ルシオラを失って得た元通りの平穏な日々

ルシオラを失った横島を思いやるも、かつての幸せな事務所に戻って安堵していた


昔のおキヌなら、横島の苦しみや悩みに気が付いただろう

誰よりも生きる素晴らしさを知っているのはおキヌなのだから…


しかし、おキヌは生き返った後、令子と共に生活している

幽霊の時とは違い、様々な体験や経験は常に令子と共にあった

そして、それがいけなかった

おキヌの純心さや優しさが令子の影響で歪んでしまう

横島に対しても自分で気付かぬうちに、令子と同じように自分の理想を押し付けてしまう

令子と横島の関係に憧れるおキヌは自然と、令子と同じような気持ちで横島に接するようになっていた


現代の一般的感覚を知らないおキヌ


令子の価値観は、刷り込みのようにおキヌの性格を歪めていく


横島に隠して、自分だけ高額な給料をもらってるのも

横島がどんなに酷い扱いをされるのも、おキヌにとっては普通に感じてしまう

おキヌはある意味、令子の被害者なのかもしれない



タマモには令子のそんな本心が見えていた

(人は変わるものよ… 横島は多分大人になった。 そして、大人になれない2人なのね)

タマモは令子やおキヌの気持ちが少し理解出来た

横島の良さはタマモもよく知っている

だからこそ、変わらない日々を望んだのだろう

タマモはそう思った


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