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平和な日常~冬~3

その後夕方になると横島の店では相変わらず女子中高生を中心に客が増えていくが、この日の日替わりメニューはポテトチップスだった。

日替わりメニューに関しては現在もほぼ毎日のように続けてはいるが、月日を追うごとに店の売れ筋がスイーツにシフトしたことで最近は平日にはあまり凝った料理は時間的な問題から作らなくなっている。

まあ土日は木乃香達が居て余裕があるので時々凝った日替わりメニューになる時もあるが、平日は結構お手軽なメニューが多い。


「揚げたては美味しいね」

「食べ過ぎは太るです」

基本的に女子中高生は甘い物を頼むことが多いが、この日のポテトチップスはそんな甘い物と同じくらいに頼む客が多かった。

何より揚げたてであることとプロの技でポテトチップスを揚げてくれる店など存在しないことも大きいだろう。

現に日頃は食べ過ぎに気をつけているのどかと夕映ですらお代わりをしてしまい、先程から食欲と理性の狭間で戦っている。

横島自身は特に難しいことをしてる訳ではなく美味しいジャガ芋を普通に油で揚げて塩を振っただけであるが、パリッとした食感にジャガ芋と油と塩のバランスが絶妙で気が付くと無くなっていると感じるほど美味しいらしい。


「そういえばポテトチップスのお店ってあらへんね」

「料理ってよりスナック菓子だからな。 それに百円くらいで結構な量が一袋買えるから本格的な商売にすれば大変だろう」

ここ最近の日替わりメニューでは一番の売れ行きのポテトチップスを横島と木乃香は厨房でせっせと揚げていたが、その美味しさには気まぐれで作ってみた横島自身も驚いてる側だったりする。

木乃香なんかはあまりの美味しさに揚げたてを食べれる店がないことに少し不思議そうだが、横島は専門の商売にするには少し大変だろうと考えていた。

元々冷めても美味しいスナック菓子なので必ずしも揚げたてでなければならない訳ではないし、店で揚げたてを売る場合はどう考えても値段がフライドポテト並に上がるのは考えなくても分かる。

横島の場合は日替わりは趣味みたいなものなので利益を低くしてやっているから気軽にできるが。


「味付けとか揚げ方とか少し工夫してみるか? オーブンを使えばもう少しカロリーが抑えられるだろうし」

「そやな~ うちは女の子のお客さん多いしええと思うわ」

そのまま横島と木乃香の二人は注文されるポテトチップスをひたすら揚げていくが、やはり味の評判は良くてもカロリーが怖いとの意見も聞こえてくる。

横島は初めて作ったポテトチップスに興味が湧いて来たのか、木乃香に意見を聞きつつカロリーや塩分を減らしたポテトチップスの試作を始めた。

流石に横島が継承した数々の料理技術や経験にもポテトチップスの経験など本当に基礎的で簡単な物しかなく、横島自身も好きなポテトチップスなだけに木乃香と一緒に楽しみながら試作を繰り返していく。

当然試作されたポテトチップスは店内に居合わせた人達にも一口ずつだが試食されていき、その感想を次の試作に生かしていくのだが横島はメニューに乗せる気は全くない。

まあ木乃香達は元より常連の女子中高生も、横島が自分の好きな物を作ってるだけなのはみんな理解しているが。



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