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平和な日常~冬~3

一方二階ではお揃いのエプロン姿のハニワ兵とタマモが掃除をしていた。

二階と三階の掃除と洗濯については今もハニワ兵が担当しているが、日頃使わない部屋は毎日掃除してないのでさほど忙しい訳ではない。

ただ最近お手伝いを覚えたタマモが手伝ってくれるようになったので、一緒に掃除や洗濯をする機会が増えていたのだ。


「きれいになるときもちがいいね」

「ポー」

そんなタマモとハニワ兵の二人は先程から一緒にゴシゴシと浴室を洗っているが、共に泡が顔についたまま楽しそうに浴室の掃除をしている。

相変わらずドジなハニワ兵は時々ズルッと滑ってはタマモが笑うなんてこともあるが、二人で掃除をすれば作業は早く進み綺麗になっていく浴室にはタマモもハニワ兵も満足げであった。


「ポー」

浴室の掃除が終わるとリビングなどの日頃使っている部屋の掃除をしていくが、さよとタマモの部屋の掃除に取り掛かるとハニワ兵はふと部屋を見渡して感慨深いものを感じる。

他の部屋と同様に当初は殺風景な部屋だったが、今ではタマモが貰ったお土産やプレゼントのコレクションを飾る棚や、さよの机と本棚とベッドなどで立派な部屋になっていた。

特に実体化以降は食事と共に睡眠も必ず必要ではないが出来るになったので、さよが眠る日はこの部屋で寝ている。

まあ机なんかは相変わらずほとんど使ってないが、それでも本棚にはタマモの絵本や絵日記に加えてさよの教科書なんかが並んでいる。

そしてクローゼットにはタマモとさよの服にタマモのお土産コレクションも入っており、時々タマモが棚に並べるお土産を変えては眺めて楽しんでいた。


「どうしたの?」

そのまま少し掃除の手が止まり部屋を見ていたハニワ兵に、タマモが不思議そうに首を傾げ声をかける。

何か感慨深いような表情なのはタマモにも理解出来たが、流石に何を考えてるかまでは分からないらしい。


「ポー……」

声をかけられたハニワ兵は掃除の手が止まりゴメンゴメンと謝るような仕種をするが、愛用のスケッチブックとマジックを取り出すと何かを書き始める。


「うん! わたしもさよちゃんもせいちょうしてるんだよ!」

ハニワ兵の言いたいことを要約するとタマモとさよの成長を感じ嬉しい気持ちになったらしい。

二人とも成長したと嬉しそうに書いたハニワ兵にタマモは当然だよと胸を張って笑顔を見せる。

そもそも長年の幽霊生活の影響で常識が欠落してるさよと生まれたばかりで幼いタマモに、基礎的な知識や常識を教えていたのは木乃香達とハニワ兵なのだから。

特にハニワ兵に関しては二人が困らないようにと夜な夜な二人に常識を教えることは最早定番となっており、二学期から実体化したまま学校に通うさよを影で支えていたのは彼なのだ。

元々はさよの友達として麻帆良に滞在することになったハニワ兵が、いつの間にか家族となったのは命令や仕事ではなく自然の流れからであった。

本来ハニワ兵にとっての家族や同胞は異空間アジトに居る同じハニワ兵達であったが、新しく出来たこの家族もハニワ兵は何より好きだった。


「ポー」

「そうだね、おそうじしよう」

いつまでもこうして家族として暮らしたい。

ハニワ兵もまたそんな夢を抱えつつタマモと一緒に掃除をしていく。



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