同じ頃横島は店に置かれてる雑誌を見ながら、タマモとさよのクリスマスプレゼントをどうするか悩んでいた。

タマモとさよは相変わらずサンタクロースにプレゼントするんだと何やら準備しているが、二人にとって初めてのクリスマスなだけに保護者としてはプレゼントは用意しなくてはならないだろう。

ただいざ二人が何を欲しいかと考えてもすぐに思い浮かぶものがない。

横島も何度か二人にクリスマスプレゼントの話を何気なく聞いてみたが、二人は今のままで十分幸せだからとしか言わないのだ。

しかし普通に考えて本物のサンタクロースが来る確率が低い以上は、親代わりとして自分がサンタクロース役をしなくてはと考えている。


（パーティーやるしな。　みんなには何にするか）

そしてクリスマスに関しては、木乃香達にも何かプレゼントをあげたいと横島は以前から考えていた。

流石にサンタクロースを信じる年ではないが、年上としてたまにはいい格好がしたい。

昔と違いせっかく嫌われてないのだし一緒にクリスマスに家でパーティーをする以上は、プレゼントくらい用意するのが年上の男性のマナーだろうと横島は勝手に決めている。

ただここで難しいのはプレゼントの内容と値段だろう。

流石に恋人でもない女性にあまり高価な物をあげるのも変だし、少女達も素直に喜べないことは割と最近だが学習していた。


（変な物あげても邪魔になるだけだしな）

そして一番の問題は少女達が何を喜ぶのか横島には全く分からないことだろう。

かつて幽霊だった時代のおキヌへのプレゼントを厄珍なんかに相談したことからも分かるように、横島は女性にプレゼントをするならば何がいいかなんて全く分からない。


（世の中のイケメンはこんな時に何をあげるんだ？）

基本的に誰かに頼る癖がある横島は、こんな時にどうするかなかなか決められなかった。

まさか木乃香達に直接聞く訳にもいかないし、店の常連の少女達に聞くとまた妙な噂をされることは考えなくてもわかる。

だからと言って土偶羅に聞いても忙しいと怒られるだけなのは明らかなのだ。


（金とか宝石なら山ほどあるんだが……）

異空間アジトには比喩としてではなく本当に金や宝石が山ほどあるが、だからと言って少女達にそんな物渡せば問題になるしブランド物なんかも値段的にアウトだろう。

結局なかなか答えの出ない横島だが、そんな時偶然店に穂乃香がやってくると横島は彼女ならば大丈夫だろうと少し相談してみる。


「プレゼントね。　そんなの簡単じゃない。　貴方の過去を教えてあげるのが何よりのプレゼントよ」

「……はっ！？」

木乃香達とクリスマスにパーティーをやるので何か気の利いたプレゼントはないかと尋ねた横島に対し、穂乃香は面白そうな物を見るようにクスクスと笑いながら横島の過去を話せばいいと告げた。

そのあまりに予想外の答えに横島は反応すら出来ずに固まるが、そんな横島を見て穂乃香は笑ってしまう。


「まあ過去は冗談としても、横島君が悩んで選んだ物なら何をあげても喜ぶわよ。　そこは自分で決めなきゃダメなんじゃない？」

明らかに冗談だといいたげに笑う穂乃香に横島は少し遅れて冗談なのだと気付くが、プレゼントは自分で選ばないとダメだと扱く当然の意見で諭されておわる。

まあ穂乃香からすると相変わらず横島は女心に関しては壊滅的にダメだなと思いつつ、本当は冗談ではなく過去を明かすことが一番喜ぶのだと思うが流石にそれをしろとは言えなかった。