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その二

部屋に戻った横島達はさっそくワインから飲み始める

横島は慣れた手つきで器用にコルクを抜き、部屋にあるコップにワインを注いでいく


「横島さん慣れてますね~」

ピートは横島の一連の動作を見て驚いていた


「家じゃあ夕飯の時にワインを飲むんだよ。 あっちじゃ普通だろ?」

横島は苦笑いしながらピートとタイガーにコップを渡す


「アッシは大丈夫でしょうか?」

タイガーは理性が無くなると止まらない為、不安なようだ


「舐めるように少し飲んでみろよ。 危なかったら止めてやるからさ」

横島の言葉にタイガーは舐めるように飲み始める


一緒に買ったチーズやサラミなどのつまみを広げて、横島とピートは慣れた様子で飲み始めた


「美味しいですね…」

普段は貧乏生活のピートは久しぶりのワインらしく、少し嬉しそうに飲む


「結構いい酒あったからな~」

横島達が行ったのは近場の酒屋だったが、予想外に酒の種類があった


飲み始めて20分くらいたった頃、部屋をノックする音がする


やって来たのは愛子とクラスメートの2人であった

「横島君、お酒を飲むなんていけないわ!」

愛子は酒を飲む横島達を見て責めるような視線を向ける


「まあまあ、せっかくの修学旅行にハメをはずして思い出作るのも青春だろ?」

横島は生真面目なセリフを言う愛子に対して、青春と言う言葉で対抗した


「えっ…!?」

愛子は横島の口車に少し悩みだす


「いいな~ 私にも頂戴!」

その間に愛子と一緒に来たクラスメートの女子は、その場に座って一緒に飲みだしてしまう


「あっー! ずるいわ。 私だけ除け者にしないで!」

愛子は周りに流されるように酒盛りに参加してしまった

机の妖怪の愛子は、当然酒を飲むのも初めてのようだ


「うーん、初めての味ね~」

愛子は初めての酒を不思議そうに飲み干す


それからは横島とピートが愛子達に振り回されるように飲んでいくが

タイガーはやはり酒は苦手なようで、コップ半分ですでに眠っている



1時間後

ほろ酔いになって来た愛子はニヤニヤしながら横島を見つめる


「さて、気持ち良くなって来たことだし、横島君と魔鈴さんの出会いでも話してもらいましょうか?」

微妙にからみ酒のような愛子は、前から知りたかったことを聞こうとしていた


「あっ! 私も知りたい! 結構突然だったよね?」

愛子と一緒に来た女子、飛鳥加奈はこれ幸いとばかりに愛子に加勢する


「う゛… お前ら飲むのはいいが絡むなよ」

困ったように苦笑いを浮かべる横島

あまり根ほり葉ほり聞かれると嘘がバレる気がした


「だってちょっと前まではそんな素振り全然無かったわよ。 いつのまに知り合ったの?」

前に聞いた時はなんとなく誤魔化されていた愛子は、このチャンスに聞く気満々である


「うーん」

横島は困ったように唸るが、逃げられそうも無い

愛子と加奈は聞く気満々だし、ピートも助ける気は無いようだ


(まあ、適当に誤魔化せば大丈夫か)

少し悩み、諦めたようにため息をついた横島はゆっくり話し出す


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