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平和な日常~春~

それから一時間ほどした頃、店内は賑やかなパーティーになっていた

結局横島と超達が作った料理がデザート含め二十種類にもなり、ちょっとしたホテルのバイキングのようになっている


「そろそろ十分カナ?」

「そうですね~ もう十分じゃないでしょうか」

料理を終えた超と五月が満足げな表情で店内を覗くと、賑やかな中で料理は次々に食べられていた

気分的にはもっと作りたい気もするが、2ーAの面々でも流石に食べきれないだろう


「作り過ぎですよ。 どう考えても赤字じゃないですか。 食べ放題飲み放題で五百円なのにホテル並みの料理は出さないで下さい」

一方厨房では横島がさっそく夕映に説教を受けていた


「半分は超包子だからな~ あっちは奢りらしいぞ。 結構高い食材いっぱい使ってるのに凄いな」

「ローストビーフに寿司に鶏の丸焼きまで作った横島さんも似たようなものです。 五百円じゃ飲み物だけでもきついでしょう?」

横島も超達もそれほど珍しい料理を作った訳ではないが、夕映や2ーAの生徒達が予想していた料理ではない

そんな予想外の高級料理にも2ーAの生徒達は疑問を感じたり臆する事なく、次々に食べて行くのだから彼女達も流石と言えるだろう


「う~ん、細かい金額は考えてないしな~ まあ最近は客の入りもいいし、トータルでは赤字じゃないぞ」

心配そうに見つめる夕映に、横島は少し苦笑いを浮かべて作り過ぎだったかと考える

もうちょっと普通にしようかとは思ったが、超達と料理をしていたらなんとなく品数が増えてしまったのだ

特別対抗意識を持ってた訳ではないが、超達に合わせたら結果的に料理が増えていただけである


「横島さんはお金持ちなのかもしれませんが、商売をしてる以上あまりサービスのしすぎはよくないと思うです」

「まあ、経営が苦しくなるとかはないから大丈夫だよ。 いつも心配かけて悪いな」

いつものように笑ってごまかす横島に、夕映は深いため息をはくしかなかった

最近夕映は横島が何かと笑ってごまかしてる事に薄々気が付いている

横島が聞いて欲しくなさそうなので夕映は聞かないが、内心では横島が隠してる秘密が気になっているのだ


(やはり実家がお金持ちという説が有力ですね。 金銭感覚が普通じゃないです)

お金にあまりに無頓着な横島に、夕映は実家が金持ちだという噂が真実ではと思っている

お金持ちの家のしがらみや何かで実家を飛び出したのではと、勝手な想像をしていた

流石の夕映も、横島の秘密は見当外れな考えしか浮かばなかったようだ


「ちょっと横島さんやり過ぎじゃない? いいんちょが実家のシェフより美味しいって言ってるんだけど……」

横島が夕映をごまかしてホッとした頃、今度は似たような理由で心配そうな明日菜と木乃香が現れる

普段は適当な理由でごまかして木乃香達にご馳走してる料理が、あやかの言葉から思ってた以上に高級な事に二人は気付いてしまったらしい



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