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その二

宿に戻った横島達は、夕食を食べて温泉に入る


「広いな~」

横島は露天風呂に入り、景色を眺める

郊外にある旅館なので、露天風呂からは山が見えていた


「すごいですね~」

「こんな温泉入ったこと無いですノー」

貧乏が体に染み着いてるピートとタイガーは、何故か隅に寄っていた


「今度みんなを連れてきたいな~」

横島は温泉に浸かり、体を伸ばす


「横島さんの事務所は人が多いですからね」

ピートは最近増えた美衣やケイやタマモを思い出す


「あいつら旅行とかしたこと無いみたいなんだ…」

横島は少し複雑な表情を浮かべて美衣達を思い出す


「まあ、妖怪が観光旅行と言うのも聞いたこと無いですからね」

ピートは少し苦笑いする


横島と世間一般はかなりズレている

妖怪を人と同じように接するなんて、普通は有り得ないのだ

まして、妖怪が人間の街を観光旅行など、普通は考え無い


「いつか、種族に関係無く自由に生きれる世界になればいいけどな…」

横島は、たくさんの神魔や妖怪達を思い出して、願いを込めるようにささやく


ピートとタイガーは、そんな横島を驚きと共に尊敬の眼差しで見つめる

自分達と同じ高校生なのに、自分達の遥か高みを見ていることに驚き

そして、自分達も努力すれば同じようになれるだろうと希望を抱く


横島達がそんな会話をしている時…

後ろから賑やかな声が聞こえてくる


「うわ~ 私、お風呂なんて初めてよ!」

「えー!? そうなの?」

声の主は数人の若い女の子のようだ


「女湯が近いんだな…」

横島は後ろを振り返らずに呟く


「だって私は机の妖怪よ? 机をお風呂になんて入れないでしょ?」

「アハハ… そう言えば妖怪なんだもんね。 忘れてたよ~」

楽しげな女の子の声はどんどん近づいて来る


「よっ…横島サン…」

何かに気が付いたタイガーは、冷や汗を流しながら横島に何かを伝えようとする


「ん…? のぼせたか?」

横島はリラックスした様子でタイガーに答える


「あれ? 誰か居るわよ?」

「まさか男だったりして…」

声の主達はどんどん近づき湯船に足を入れる


女が苦手なタイガーは、静かにその場を移動して逃げようとしていた


横島とピートは、露天風呂に誰か来たのに気がつき、後ろを振り向く


「「うわっ~!!」」

横島とピートは驚き、慌てたように叫ぶ

横島は、久しぶりに昔のように慌てたリアクションである


「「キャー!」」

同時に横島とピートを見たのは、愛子とクラスメートの女子数名である

彼女達も、まさかクラスメートが入ってるとは思わず、驚きの声をあげた


予期せぬ出会いで、お互いに体を隠す暇などない一同は、一瞬だが相手の裸を見てしまう


一同はすぐに露天風呂に入り、恥ずかしそうにしている


「なんで横島君達が露天風呂に入ってるの! 混浴だから生徒は禁止のはずよ!」

愛子は顔を真っ赤にしながら横島達な抗議する

しかしその視線は、横島の体をチラチラ見ているのだから説得力が無い


「えー! 聞いてないぞ? なあ、ピート!」

横島は慌てた様子のまま、ピートに同意を求める


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