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平和な日常~冬~2

その後ビンゴ大会が始まると、横島も少女達もそちらに集中し先程までの空気は一変する。

まずは賞品の紹介から入るが一番早くビンゴした人の賞品が新車のようで、紹介を聞くと車は那波重工製の新型スポーツカータイプのようだ。


「なんで車なんて欲しいんだろ?」

日頃あまり物欲のないタマモが食券を狙う桜子と共に車が欲しいと騒ぐ姿に横島は少し不思議そうだが、訳を知る明日菜達は横島にプレゼントしたいと語るタマモの気持ちを鑑みてその理由は語らず意味ありげな笑顔で横島を見つめている。

実のところタマモは車の種類なんてほとんど知らないので、スポーツカータイプだと言われても全然理解はしてない。

そんなタマモが明日菜達に聞いたのは、唯一屋根がある車かどうかだった。

現在横島が乗っている車はもちろんコブラでありオープンカーだが、はっきりいえばタマモは二人乗りの屋根がないオープンカーをあまりいい車だとは思ってないのだ。

車の価値など知らないタマモ的には大きければ大きいほどいい車だと思ってるので、屋根があるだけ今の車よりはいいと考えてる程度である。


「新車と海外旅行なんかをビンゴ大会の景品にするなんてここだけだろうな。 ってかあの車は千鶴ちゃんのとこで提供したのか。 太っ腹だな」

そのまま次々と紹介される景品に会場は盛り上がるが、そのつど景品の提供者が発表されていた。

スポーツカータイプの新車に関してはもちろん那波重工提供であり、海外旅行は雪広コンツェルンである。

ちなみに海外旅行はヨーロッパに家族全員御招待になっているので、新車に負けない金額になるらしい。

それと芦コーポレーションに関しては、末端の景品である食券二週間分が提供者になっていた。

基本的には支援企業の力関係に配慮した景品提供が行われてるようだ。


「企業にも付き合いがありますからね。 それに広告宣伝活動の一貫でもあるんですよ。 最近はテレビCMを流せば売れる時代ではないですから」

クリスマスパーティーのビンゴ会場に車やら海外旅行を出す那波・雪広両グループに、横島は金はあるところにはあるんだなとシミジミと語るが実情は少し違うようである。

千鶴いわく企業にも付き合いがあり結構大変らしい。

まあ千鶴自身もさほど詳しい訳ではなく両親から昔軽く聞いた程度のようだが、学園や他の支援企業とのバランスもあってこの手のイベントへの出資は安くはないが必要経費らしかった。

ただし広告宣伝活動の一貫という側面もあり一概に負担ばかりが大きい訳ではないようでもあるが。

実際のところ話題性なんかを考えるとただCMを垂れ流しにするよりは宣伝効果があるとも言える。

特に麻帆良学園の場合は生徒による口コミなどの情報伝達も馬鹿には出来ないし、将来性のある生徒達に自社製品を知ってもらうだけでも必要な活動と言えた。

それに過去には那波重工が支援した自動車系サークルが、海外のレースに参加して優勝したなんてこともあるとのこと。


「みんな凄いな。 俺は自分の店だけでも四苦八苦してるのに」

そんな千鶴の語る企業側の苦労に横島は大変だなと相変わらず人事のような反応をするが、横島もそろそろ人事ではないのだと夕映は突っ込むべきか真面目に悩んでしまう。

正直横島にはこの手の学習能力がないのは今更だが、下手に行動力があり有能な分だけ厄介だった。



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