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神と人と魔の狭間で

「メドーサ様。 香港当局を動かしているのは日本のオカルトGメン支部のようです。」

一方香港では西条の手配により勘九郎に対する捜査が厳しくななっていて勘九郎でさえも行動に支障をきたし始めていた。

すでに警察官や香港のGSの間には指名手配として勘九郎の名前と顔は知られていて迂闊に外も歩けなくなったが、勘九郎は顔を隠したり夜間に行動したりして計画を進めている。

そんな勘九郎だが香港当局の人間を脅して情報を手に入れたらしく急に締め付けが厳しくなった理由を掴んでいた。


「小竜姫が動いたんだろうさ。 相変わらず小賢しい真似を。」

「いかがしますか?」

「このままでいい。 見つかったらせいぜい派手に暴れてやりな。」

メドーサは勘九郎の報告にニヤリと久々に笑みとも喜びとも取れる表情を見せると、自らが垂らした針に小竜姫がかかりそうなことを喜ぶ。

GS試験の時のやり方から小竜姫が動くならばまずは人間を動かすとメドーサは読んでいたらしく、勘九郎は半ば小竜姫を釣る餌の役割も兼ねていたらしい。


「しかし小竜姫が雪之丞や美神達を連れてきたら……。」

「小竜姫の弱点はあのボウヤだよ。 何をトチ狂ったのか知らないけどね。」

「ですが奴の結界に雪之丞と美神が居るとなると……。」

「いいかい。 奴の結界は霊力源が小竜姫なんだ。 奴が結界を使えば使うほど小竜姫の負担は増えるし逆に小竜姫が自分で手一杯になれば奴はたいした力がないボウヤに戻るはずだ。 雪之丞と美神令子はあの役立たずとゾンビで足止めさせればいい。 お前はあのボウヤを相手しな。」

ただ勘九郎はメドーサの目的が元始風水盤よりも小竜姫と戦うことだと理解していて、小竜姫がメドーサと戦う以外の想定をするが勘九郎とて雪之丞と令子と横島の相手をゾンビ達とするのは部が悪いことに気づいていた。

しかしメドーサは横島と小竜姫の契約の弱点も知っているらしく、早い段階で小竜姫はメドーサ自身が相手をして勘九郎が横島を令子と雪之丞から引き離して相手をすれば勝つ見込みは十分あると踏んでいる。

そもそもメドーサは天竜童子暗殺未遂の時に横島を見ているので横島が霊能者でない一般人だと知っているのだ。

尤もメドーサですらも横島がすでに半人前ながら自らの力で戦えるようになった事実までは知らないようだったが。


「来るがいい。 小竜姫。 貴様の目の前であのボウヤを殺してあげるよ。 小竜姫はどうなるかねぇ。」

何がメドーサをそこまで突き動かすのか勘九郎にも分からないがメドーサは小竜姫に固執し、小竜姫の目の前で横島を殺すと宣言して狂喜に満ちた高笑いをしていた。

勘九郎はそんなメドーサに魔族の恐ろしさを改めて感じていて、最早自分も後戻り出来ないことを理解した。

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