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平和な日常~冬~2

「みんな頼りになるなぁ」

その後打ち合わせが終わると夕映と千鶴はドレスに着替えに行ってしまい、部屋には横島と芦優太郎の二人だけになっていた。

横島は先程夕映達から渡された資料に目を通していたが、それは最低限の情報を分かりやすく纏めたものである。


「これを作るのも大変だったろうに」

資料一つ取っても夕映の成長がわかるが、それを作るまでにあやかや千鶴を含めて夕映や木乃香達もかなり大変だったであろうことは明らかだった。

昨日と今日スイーツを作っていた木乃香とのどかもそうだし、タマモを任せた明日菜もそうだ。

ほとんど毎日一緒の少女達の成長は横島にとって感慨深いものがある。


「あの娘は特にお前にないモノを持ってるからな。 期待してる者は多いぞ」

木乃香が料理に才能を発揮してるように、夕映は最近特に持ち前の思考能力の速さを生かす行動が増えて来ていた。

常識的な見地から横島に欠けてる部分を見極め必要なサポートをするのは、端から見てるよりも遥かに大変で難しいものがある。

横島自身出来ない訳ではないがやらないことが非常に多く考えてるようで考えてないだけに、横島の二手三手先まで読み行動するのは土偶羅以外では夕映のみにしか出来ないだろう。


「期待ねぇ。 妬みとか嫉妬まで集めてねえだろうな」

「光あるところに影がある。 期待が集まれば集まるだけ妬みや嫉妬が集まるのは仕方ないことだ。 まあ問題になりそうな件は今のところないがな」

身近な横島ですら夕映の成長を早く感じるのだから他にも感じてる人が多いと聞くと少し心配そうな表情を見せるが、土偶羅いわく今のところ問題はないらしい。

まあ超鈴音や雪広あやかの活躍が凄まじいので、夕映はまだ彼女達に比べると目立ってないのだろう。


「ちょっと考えなきゃダメかもな。 夕映ちゃんの将来を狭めないようにさ」

土偶羅が問題ないと言う限り問題はないのだろうとホッとする横島だが、現状で夕映の将来を狭めるようなことにはしたくなかった。

これに関しては木乃香達も同じだが、横島自身あまり彼女達に頼り過ぎるのはマズイかと考えてしまう。

才能を開花させて大人の中で活躍することはいいが、あくまでも本業は学生であり自由気ままな学生生活を送らせてやりたいのが横島の本音だった。

そういう意味では木乃香と夕映は少し才能を開花させるスピードが早過ぎると思う。

木乃香に関しては体育祭以降ブレーキをかけているが、夕映にもそろそろブレーキが必要な頃である。


「お前自身がそうだったからな」

「ああ、いつの間にか将来なんて選べる状況じゃなくなってたからさ。 後悔って訳じゃないけど、時々思うんだよ。 オカルトに関わらなきゃどうだったんだろうってな」

実のところ才能というモノに横島は複雑な想いがある。

横島自身はオカルトの才能は誰よりもあったが、それが理想や夢だったかと聞かれると答えは出て来ない。

現状で夕映は横島の為に行動してるだけに、横島は夕映の将来が狭まる前に気をつけてやる必要があった。

周りの期待が大きいと聞くと尚更考えさせられてしまうようである。


「こちらでも少し気をつけておこう」

「頼むよ。 今更な感じもあるけど」

夕映の周りには超やあやかのように半ば社会人として活躍してる友人がいるだけに彼女は気付いてないらしいが、明確な将来や夢がないならば越えてはいけないラインはあると横島は思う。

横島の性格上頼り過ぎてしまったかと少し後悔もするが、横島はこれ以上夕映が学生の範囲を逸脱しないように気をつけていくことにしていた。



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