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GS試験再び……

そしてGS試験前日の夜になっていた

生活感の無いアパートで、雪之丞は一人酒を飲んでいる


(あれから二年か…)

明日がGS試験だと思うと、雪之丞はかつての試験を思い出してしまう

さほど仲間意識があった訳では無いが、共にGS試験を受けた者達も今は居ない

一人は魔族として死に、一人は行方不明…


ふと雪之丞はあの時の自分と比べて、今の自分は変わったのだろうかと気になっていた


(俺と勘九朗にあったのは実力差だけだった。 考え方や生き方はあまり違わなかったのにな…)

結果的に全く違う道を生きる事になった雪之丞と勘九朗だが、当時はさほど考え方に違いなどなかったのだ

互いに強くなる事が全てであり、それ以外はどうでもよかった


(些細なきっかけが人生を分けたのかもな…)

分岐点はあの試合にあったと雪之丞は思う

それはいつの間にか腐れ縁のようになった横島との試合

あれの試合がもし雪之丞と勘九朗が逆の立場なら……


「らしくねえな…」

雪之丞はそこで考えを止めて、思わず苦笑いを浮かべていた

自分らしくない深く無駄な事を考えてしまったと思い、苦笑いを浮かべていたのだ


「寝るか」

そして敷きっぱなしの布団に潜り込んだ雪之丞は、そのまま眠ってしまう



同じ頃、タイガーは自宅のマンションでなかなか寝付けずにいた

明日の事を考え早く寝ようとしたのだが、全く眠れないのだ


(ワッシは……)

僅かな期間だったが横島や雪之丞と共に仕事や修行をしたタイガーは、改めて実力差を痛感している

同じ事を同じようにしても、結果がまるで違うのだ

その現実にタイガーは人知れず落ち込んでいた


(ワッシはどうすれば……)

横島や雪之丞のように強くなりたいと思うタイガーだが、どうすればいいかわからない

というか逆に横島や雪之丞を見ているからこそ、タイガーは自分が見えてなかった


(魔理さん…)

そんなタイガーは、今無償に魔理に会いたかった

しかしタイガーはGS試験の話を魔理にはしてない

オカルトの話を避ける魔理に、タイガーはGS試験を受けると言えなかったのだ


この日、タイガーが眠りについたのは明け方近くだった



そして同じ頃の横島と魔鈴は、すでにベッドの中だった


「GS試験って、みんな人生賭けて受けるんですよね」

一仕事を終えたように少しスッキリした表情の横島は、ふとGS試験について考えていた

自分は何も考えず勢いで受けた為に実感などなかった横島だが、今思うとみんな必死だったのだと思う


「横島さんは違ったんですか?」

「俺は一次審査が受かるまでは、霊力がある事すら思ってもいなかったっすよ」

一方ちょっとウットリした表情をしていた魔鈴は、横島のGS試験の時が気になったようだ

横島はそんな魔鈴に、自分が試験を受けた時の話をしていく


「言葉になりませんね」

話を聞けば聞くほど、魔鈴は信じられないような表情を浮かべる

小竜姫が横島の才能を見出だした所までは感心していたのだが、何故そのままぶっつけ本番で試験を受けさせたかが理解出来ない

小竜姫は人界に疎いから仕方ないのかもしれないが、令子は止めるべきだったと思うのだ


「あの時、誰も俺が一次審査を受かるなんて想像もしなかったんですよ。 小竜姫様も俺に霊能者の才能がある核心がなかったみたいだし… 運命と言うか、偶然と言うか…」

微妙に不愉快そうな表情の魔鈴に、横島は懐かしそうに話を続ける


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