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その一

ヒャクメの言葉に横島や小竜姫達は考え込む

そんな中、ルシオラは疲れたのかスヤスヤとお昼寝しており、パピリオが嬉しそうにそれを見ている


「あっ、そうだ! ベスパにも教えてやってくれないか? あいつもかなり気にしてるだろうからな」

横島は難しいことを考ても無駄だと悟ったのか、考えることを止めていた


「そうですね… さっそく知らせて来ます」

ジークも不思議そうに考えていたが、ベスパに知らせる方が先だと判断してすぐに連絡に行く


「横島さん、ルシオラさんはどうしますか?」

小竜姫は少し心配そうに横島を見た

子供を育てるのは簡単では無い、ましてルシオラは魔族なのだから

小竜姫の知る横島は、戦いになれば何かを期待させる物はあるが、赤ちゃんを育てるには不安があった


「……俺は、自分が育てたいと思ってます。 まあ、ベスパとパピリオ次第だけど……」

横島はいつになく真剣な表情で小竜姫を見つめる

初めて見る横島の真剣な表情に小竜姫が少しドキッとしたのだが…

幸い誰にも気付かれなかったようだ


「わたちはいいでちゅよ。 ルシオラちゃんは横島と一緒に居るのが一番でちゅ」

パピリオは、眠るルシオラの顔を飽きることなく見つめながら話して来た


「横島さんの気持ちはわかりますが、赤ちゃんを育てるならいろいろ考えなくてはなりませんよ? 人界ではお金も必要ですし、赤ちゃんを面倒見る人も必要です。 その辺しっかり考えてますか?」

小竜姫は横島とルシオラの未来を心配しながら優しく語りかける

横島が真剣なのは理解したが、現実的に考えなくてはならないことはたくさんあるのだ

小竜姫にしてみれば、横島は手間のかかる弟のような存在

その横島が子育てするのは少し不安が残っていた


「そうなのねー 今のルシオラさんは本当の赤ちゃんと同じなのね。 記憶が蘇るまで大切に育てないとダメなのねー」

ヒャクメも小竜姫に続いて念を押した

記憶が戻ればルシオラとして覚醒するが、別に育てた時間の記憶が消える訳ではない

育て方を間違えれば、ルシオラが前と違う性格になるのも有り得ない話ではないのだ


「うーん、そうっすよね~ 真剣に俺とルシオラの人生を考えないと…」

横島は今まで人生を考えるなどしたことが無い

どちらかと言えば感情の赴くままに生きて来たのだ

自分一人ならどうでもいいが、ルシオラの未来を考えると横島は真剣に考えざるおえない


腕を組み、真剣に考え込む横島

そして、それを見守る小竜姫とヒャクメ


「ねえ、ヒャクメ? 横島さんから神気と魔力がでてない?」

最初に気がついたのは小竜姫であった

考え込む横島から微量の神気を感じたのだ


「あれ… 本当なのね?」

ヒャクメは驚いた様子で横島の観察を始める


「小竜姫もヒャクメも馬鹿でちゅね… 横島からはルシオラちゃんの魔力が感じるでちゅよ」

パピリオは初めから気がついてたようで、今更気がついた2人に呆れていた


「えっ!? パピリオ気がついてたんですか?」

小竜姫は自分より先にパピリオに気が付かれて、驚きとショックを感じる


「わたち達姉妹は近くに来ればわかるんでちゅ。 なんか感じるでちゅよ。 横島からも同じ力を感じるでちゅ」

パピリオは何を今更と言った表情で小竜姫に説明した
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