その一

修学旅行前日


魔鈴は慌ただしく、横島の着替えなど荷物を準備している


「お土産忘れないでね」

タマモは魔鈴が荷物を準備するのを見ながら、横島に話しかける


「ああ、京都の旨いもん送ってやるよ」

横島がそう話すとタマモは楽しみなのか笑顔を見せる

前世で京都にいたタマモは懐かしい味を食べてみたいのである

「兄ちゃん、おいらも楽しみだよ!」

「私達は京都なんて行ったことないですからね~」

ケイは横島の足元で元気に遊んでいて、美衣がそれを幸せそうに眺めている


「みんな旅行とか行ったこと無いんだもんな~」

横島はお土産を楽しみにしているタマモや美衣達を見て、いずれ落ち着いたらいろいろ連れて行ってやろうと、心に決める


「忠夫さん、着替えは準備出来ましたよ。 変装用にメガネも入れておきますから、騒がれそうでしたら使って下さいね」

魔鈴は着替えをバックに入れると横島に入れた物などを、説明していく


「大丈夫だろ? 普段もこのままだし…」

横島はあまり気にしてないが


「この辺の人は大体知ってますからね… あまり騒がないですが、旅行客とかに囲まれると大変ですよ?」

魔鈴は無防備すぎる横島に少し困ったように笑いかける


「うーん、なら気をつけるよ」

横島は魔鈴に心配をかけないように返事する


そうしてその日、魔鈴の家では賑やかな声が深夜まで響いていた


次の日横島は、出かける前にカオスの研究所に声をかける

「カオス、居ない間頼むな」


「ああ、任せておけ。 横島は心配しすぎじゃ…」

「横島さん・気をつけて・行ってらっしゃい」

カオスは心配性の横島に笑っており、マリアは少し微笑み横島に語りかける


「そうかもな… 行ってくるよ」

横島はカオスの言葉に苦笑いしながら、マリアに返事をしてその場を後にする


そして異界から事務所に移動して、魔鈴とタマモと美衣とケイに声をかけて、出かけようとしていた

「忠夫さん、行ってらっしゃい」

魔鈴は横島にカバンを手渡し笑顔で見送る

「おう、行ってきます。 お土産楽しみにしてろよ!」

横島は魔鈴達に声をかけて学校に向かう


学校に着くとすでに生徒が半分は登校していた

横島はクラスメートに挨拶をして、自分の席に座る

「おはよう、愛子」
ピートとタイガーはまだ居ないので愛子に挨拶した


「おはよう、横島君」

愛子は修学旅行が楽しみなのか、朝から機嫌がいいようだ


「愛子、いいもんやるよ」

横島はニヤリとして愛子にネックレスを渡す


「えっ!? 私に…??」

愛子は驚き目を見開くが、ネックレスを見て顔を赤らめる


「そんな… 横島君…」

愛子は照れながら横島を見る

何か妄想しているようだ


「それを首にかけてみろよ」

横島は愛子の表情の変化の意味に気がつかないまま、愛子に語りかける


「こんなみんながいる場所で…」

愛子の表情は更に赤くなり妄想は膨らんでいくが、言われた通りにネックレスを首にかける


ピカー!!

ネックレスに付いている宝石が一瞬光ったと思ったら…


なんと愛子の本体の机が消えている

「えっ!?」

愛子は驚き本体を探すが…、無い


呆然と不思議そうな愛子と、クラスメートも驚き愛子を見つめる


「お前の本体はネックレスの中だよ。 それを使えば修学旅行が楽だろ?」

横島は驚き声の出ない愛子の表情に満足げに笑って説明した

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