その一

「いや…、しかし悪いですよ…」

金銭感覚の無いピートは遠慮している

唐巣と同じで、自分の価値を理解してない


「ピートさんはともかく、アッシは役に立つんですかいノー」

タイガーはタイガーで、通常の除霊は苦手なので不安そうだ


「横島君、お金大丈夫なの?」

さすがに愛子も気前の良すぎる横島を心配する


「俺は大丈夫だよ。 一応、正規のGSだしな… それに、うちの事務所人手不足だし、お前らの能力に合う仕事を手伝ってくれたら助かる」

横島の話にピートとタイガーは考え込む


横島はそんな2人を内心苦笑いして見ている

ピートやタイガーの能力を考えれば、横島に得はあっても損は無い

2人の周りは一流のGSばかりな為、どうしても自分達が未熟に見えてしまうが、得意分野で仕事をすれば唐巣やエミを超える仕事を出来る

昔の横島もそうだったが、周りにまともな金銭感覚を持つ人が少ない

ピートは師匠の唐巣が金銭感覚が無さ過ぎるし、同じ弟子の令子はがめつすぎる

あまりに極端でピートにまともな金銭感覚を教える人がいない

一方タイガーの場合、エミは給料を人並みに払ってる筈だが、何に使ってるかは不明なのだ


「2人共、横島君の話に乗ったら? 修学旅行は一生に一回よ」

悩む2人に愛子が進める

愛子も一緒に行く友達が増えた方が楽しいし、今の横島は信頼が出来た


「本当にいんですか?」

ピートは確認するように横島に問いかける

「お互い損はしないよ。 気にするな」

横島は笑ってピートとタイガーを見る


2人は最後まで遠慮がちだったが、最終的には横島が愛子を味方に付けて押し切った

横島はどうせならみんなで修学旅行に行きたかったので、少し強引だが納得させていた


こうして、横島達は修学旅行に行くことが決まる


修学旅行の行き先は京都…

それは前世からの、アシュタロスとの因縁の始まりの地

横島の前世である高島が死んだ地

そして…

未来と合わせて、平安時代と戦国時代の2回も過去に行った

横島にとって非常に縁の深い土地である


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