その一

「う~ん、でも事件があればどうする? 次の事件はフェンリルの件だろう 時期はもう少し先のはずだが…、油断は出来ないだろ?」


横島が心配だったのは、人狼犬飼ポチが妖刀八房を使って起こす事件である


あの事件もかなりヤバい事件なのだ

フェンリルはかつて地上に神々がいた太古にあまたの神々を殺し、世界を滅ぼしかけた怪物


犬飼ポチが八房で変化するフェンリルはオリジナルよりは弱いが、それでもエネルギー万全で変化すれば今の横島と魔鈴でも勝てない


未来のようにエネルギー不足に持ち込むか、一番いいのはフェンリルになる前に倒すことである


ちなみに、未来のように人狼族の守護女神アルテミスは使えない

未来は人狼のシロに神おろししたが、この世界のシロが同じく成長するかはわからない

それに横島や魔鈴は人間では無く、神魔と同じ生命体な為、神おろしは出来ないのだ


「その件は先日カオスさんと相談しましたが、ハーピーの件と同じく人狼の里を監視したいと思ってます。 出来ればシロちゃんのお父さんも助けたいですし… 犬飼ポチが動き出したら、急行すれば大丈夫かと思います」

魔鈴はすでにカオスと相談して事前に作戦を考えていた


「う~ん…、それなら大丈夫か。 最悪文珠で転移して帰ってくればいいしな」

横島はフェンリルの件に目処がたち少し安堵した


「行って来て下さい。 私達はこの時代で生きるんです。 せっかくの高校生活楽しんで下さいね」

魔鈴は優しく横島に微笑む


「めぐみ…」

横島は嬉しくなり、魔鈴を抱きしめる


「ありがとうな」

魔鈴を抱きしめたまま横島は囁いた


「うふふ…、私が居なくても浮気はしないで下さいね?」

魔鈴は横島を抱きしめて、一応釘を刺した


「浮気なんてしたこと無いだろ?」

横島は少し驚いて言うが…


「誰かに迫られても断って下さいね」

魔鈴が心配していたのは優しすぎる横島の性格である

「ああ、大丈夫だよ 俺にはめぐみとルシオラしか居ないんだ」


横島と魔鈴はお互い愛を確かめるように時を過ごしていく



次の日

横島は学校に登校するとすでにピートやタイガーが登校していた

「おはよう~ みんな早いな…」

「おはよう。横島君」

「横島さんおはようございます」

「横島さん今日は遅かったですノー」

愛子とピートは笑顔で挨拶して、タイガーは珍しく遅かった横島に声をかける


「ああ、朝に少し話してたからな…」

横島は苦笑いして答えて席に座る


「実はさ…。 ピートとタイガーに相談があるんだが…」

横島は少し真面目な表情になり2人を見る


「なんですか?」

「なんですかいノー」

2人は少し驚き横島を見る


「お前ら、一緒に修学旅行行かないか? 金は俺が貸すからさ」

横島が突然話し出した内容にピートとタイガーは不思議そうに首を傾げる

「はい?」

「へっ?」


「突然どうしたの横島君?」

不思議そうな2人より先に愛子が横島に問いかける


「俺は行けそうだから、どうせ行くならお前らも一緒に行けばいいかと思ってな~」

横島の話に愛子達は驚き横島を見つめる


「しかし…、僕とタイガーじゃ返済は難しいですよ?」

ピートは困ったように横島を見る

タイガーも少し落ち込み気味にうなだれた


「ああ、それなら気にするな。 一回仕事手伝ってくれればチャラにするよ。 お前らの能力なら問題無いだろ?」

日々の食費にも困る2人である

横島はそこまで考えて話していた

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