その一

それから、教師がなんとかその場を静めて解散になった

代表者は自分の得意な霊衣に着替えて、特別なリングのある会場に向かっていた


そして代表になっていたおキヌは、同じクラスの代表の弓かおりと一文字魔理と一緒に準備していた

「クラス対抗とはいえ、ここでの成績は将来とても重要よ。 くれぐれも足手まといにならないで頂きたいわ」

かおりはおキヌと魔理を見て見下したように話した


「誰に向かって言ってんだ! テメエ!」

魔理は怒りの表情を浮かべてかおりを睨んだ


(こんな連中頼りに出来ないわ。 私ひとりで勝ってみせる…)

かおりは魔理を睨んで会場に向かった


(弓さん… 一文字さん…)

おキヌはそんな二人を見て困ったようにため息をついた


おキヌには理解出来なかったのだ

何故そこまでいがみ合うのか



一方横島と魔鈴は特別審査員として、理事長や令子と一緒に座っていた


「なんか… 審査員に来たのに、逆に見られるってのは複雑な気分だな…」

横島は困ったように小さく呟いた


横島と魔鈴や令子は注目を集めていた


観客の霊能科の生徒や、普通科の生徒まで集まっていた


主に注目を集めていたのは、横島と魔鈴だった


会場は超満員で、試合よりも横島と魔鈴を見に来てる人が多いようだった


「普通にしてれば大丈夫ですよ」

魔鈴は笑顔で横島な話した


その魔鈴は横島の隣に寄り添うように座っており、自然な感じで恋人だと周りにわかるような態度をとっていた



理事長は相変わらず、のほほんとした表情で試合が始まるのを待っている


令子は横島と魔鈴と少し間を開けて座っており、二人を無視していた



「しかし、おキヌちゃんが居るとはな~」

横島は魔鈴にしか聞こえないように呟いた

「私達が動いて、歴史が変化してますからね…」

「ってことは… おキヌちゃんは今回も大変なんだろうな…」

横島は過去のクラス対抗戦を思い出していた


横島と魔鈴は、顔を近づけてヒソヒソ話のように会話していた


その姿はお似合いの恋人としか見えない姿で、魔鈴は安心していた

これで横島の恋人として、周りにアピール出来たのだから…


観客席の生徒は横島と魔鈴をカメラで写してる者や、近付こうとする者までいて混乱していた


横島と魔鈴の審査員席の周りには、生徒が近付かないようにロープが張られ、警備員まで配置されていた


これらは全て、当初から準備されていた物で、理事長の指示だった


理事長は横島と魔鈴の人気を熟知しており、めったに人前に出ない二人を呼ぶことで、六道家の力をGS関係者に示す絶好の機会と捕らえていたのだ


「二人とも凄い人気ね~」

理事長は知らなかったようにノホホンと話していた


「私もあの映画出てたんだけど… なんであんた達だけ騒がれるのかしら…」

令子はムッとした表情で横島と魔鈴を睨んだ


実は令子もそれなりに騒がれていた

だが、はまり役の悪役として騒がれた為、令子は一切無視していたのだ


「私達も困ってるんですよ…」

魔鈴は笑顔で理事長と令子をかわしていた


(ちっ! 面白く無いわね~ 昔の横島の写真でも売って金儲けしようかしら…)

令子は横島や魔鈴がちやほやされるのに、イライラしてそんなことを考えていた


「美神さん、またお金のこと考えてるぞ!」

横島はひきつった顔で、魔鈴だけに小声で話した

魔鈴が令子を見ると、令子は欲望丸出しの表情をしていた


「ロクなこと考えてませんね」

魔鈴は関わらないように目線を外した



そうして、横島と魔鈴が注目を集める中、クラス対抗戦が始まった

試合が始まると横島と魔鈴を見ていた生徒も、だいぶ落ち着いて試合を見ていた


様々な霊衣を着て、自分の得意な戦法で戦う代表者達


横島と魔鈴も試合を観戦していた


「二人とも、うちの生徒はどう~?」

理事長はニコニコと横島と魔鈴に話しかけていた


「ええ、予想よりも自由な戦い方をしてますね。 学校で教えてると聞いていたので、もう少し普通かと思ってたんですが…」

魔鈴は言葉を選びながら話していた


「ここの生徒の大半はGS関係者よ~。 言わばエリートなの~。 だから、親や関係者の戦い方に近い人が多いわ~」

理事長は魔鈴の話に答えた


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