その一

魔鈴は準備が終わると、美衣に後をお願いして、横島と六道女学院に向かった


魔鈴と横島は六道女学院に着いたら、理事長室に通された


「失礼します」

魔鈴と横島が理事長室に入ると、理事長と令子が居た


「あんた達も呼ばれたの?」

令子は嫌そうに顔をしかめた

そして横島と魔鈴の姿を見て、不機嫌そうに視線を外した


「美神さんも呼ばれてたんですね…」

魔鈴は顔に出さないが、内心ため息をついた

本来の歴史とタイミングが違う為、今回は令子が居ないと思ったのだ


「そうよ~ みんな今日はお願いね~」

理事長は魔鈴や令子の事は気にせずに、ニコニコとしていた


(美神さんに関わるとロクな事が無いんだがな…)

横島は無言で見ていた


それから、横島達と令子は校庭に通された

校庭には霊能科の生徒が全て集まっていた


教師がクラス対抗戦の説明などをして、理事長が挨拶をした


「今日はみなさん、ケガしないように~、頑張って下さいね~」

相変わらずの口調で理事長は挨拶した

「それから~、特別審査員を紹介します~ GS長者番付一位の美神令子さんよ~ 時々講師をお願いしてるから、みなさんご存知ね~」

令子が理事長に紹介されると生徒達は騒ぎだした


「キャー!!」

「お姉さまー!!」

生徒達の黄色い声援に令子は苦笑いしながら、少し手を上げて答えた

「みんな悔いを残さないように頑張ってね」

令子は軽く挨拶をして下がった


「それから~ みなさんの強い希望でお呼びした~ 魔鈴魔法事務所の、魔鈴めぐみさんと横島忠夫さんです~ 二人はみなさんご存知の通り~ 香港映画にもでた、今注目のGSですよ~」

理事長が説明して、魔鈴と横島は前に出た


ざわついていた生徒達は、一瞬で静かになった

そして、視線は魔鈴と横島に集まる


「初めまして、魔鈴めぐみです。 よろしくお願いします」

魔鈴は笑顔で挨拶した


続いて横島がマイクの前に立つ

生徒達の注目を集めて、内心苦笑いしていた横島

横島は生徒が引いていると思っていた


「初めまして、横島忠夫です。 みなさんと年の変わらない俺が、審査員をするのに異論があるかもしれないけど、頑張りますのでよろしくお願いします」

横島は表面上は笑顔を作って、低姿勢で挨拶した



「キャーー!!」

「本物よ!!」

「生で見れるなんて幸せー!!」


横島の挨拶が終わると、生徒達は一斉に興奮した様子で騒ぎ出した

まるでアイドルのコンサートのように、横島と魔鈴の姿に声を上げていた


魔鈴は笑顔で手を振って答えている


横島は一瞬何がなんだかわからなかった…

「ここまで、声援が来るとは…」

横島は驚いた顔で魔鈴に小声で話した

横島自身、映画で有名なのは知ってはいるが、ここまで黄色い声援が来るとは思わなかった

過去の記憶がある分、ギャップに驚いていた


「忠夫さん、みなさんに答えてあげないと…」

魔鈴に言われて横島は、笑顔をもう一度作って手を振って声援に答えた



その横島と魔鈴の姿を見ている生徒の中におキヌが居た


「横島さんと魔鈴さんも来たんだ~」

おキヌは嬉しそうに隣の一文字魔理に話した


「まさか… おキヌちゃんあの二人も知り合いなの!?」

おキヌの話に魔理が顔をひきつらせながら聞いた


「うん、横島さんは前は美神さんの事務所で、一緒に仕事してたんです。 魔鈴さんの事務所に行ってからも、何回か一緒に仕事しましたよ」

おキヌは嬉しそうに魔理に話した


「すげー… やっぱりおキヌちゃんって、ただ者じゃないな」

魔理は感心したようにおキヌを見ていた


そして、少し離れた場所では弓かおりが、おキヌを睨んでいた

「本当に生意気ね… お姉さまと一緒に暮らしてるだけでも生意気なのに、あの二人共知り合いなんて…」

かおりは怒り心頭と言った表情だった


「ねえ、かおり! 氷室さんに頼めば、私達も会えるんじゃないの!?」

かおりの取り巻きの女子が、興奮したように話していた


「そんなみっともない真似出来る訳無いでしょ!!」

かおりは悔しそうにおキヌを見ている


「まさか、あの横島忠夫と魔鈴めぐみと知り合いとはね~」

もう一人の取り巻き女子が羨ましそうにおキヌを見ていた

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