おキヌが、ネクロマンサーの笛をもらってから、一週間が経過した


その日、美神事務所には老年の女性がやってきた


どこかの民族衣装を着込んだ女性は、事務所の応接室でおキヌと対面していた


「おキヌちゃん、この人が世界に数人しかいない、ネクロマンサーマスターよ」

令子は珍しく少し緊張した感じで、おキヌに老年の女性を紹介した


「では…、まず笛を吹いてみてくれるかい？」

老年の女性はおキヌを見て、ゆっくり話した


「はい、よろしくお願いします！」

おキヌは令子以上に緊張していた


「楽になされよ… 前に笛を吹いた気持ちを思い出して吹いてみてくれないか？」

老年の女性は、少し微笑んでおキヌに話した


「はい…」

おキヌは大きく深呼吸をして、笛に口をつけた


ピリリリリッ…

ピリリリリッ…


おキヌのネクロマンサーの笛からは、綺麗な音色が流れていた

この一週間おキヌは自己流で練習していた結果、最初よりは音色が安定していた


おキヌは笛を置いて、老年の女性の言葉を静かに待っていた…

令子も少し離れた場所で、見つめていた


「どんな気持ちで吹いていたんだい？」

老年の女性はおキヌの目を見て聞いた


「私は、少し前まで幽霊でした。 ３００年間ずっと一人で、時が過ぎるのを感じていました。 その時の寂しさや苦しさや辛さを、思い出して吹いてました」

おキヌはゆっくりと自分の感覚を説明した


「うむ… 霊を操る極意は霊の悲しみを理解して、心の底から思いやる心がなければならない。 コントロールするには、愛が必要なのじゃ。 霊への深い悲しみが、ネクロマンサーの笛を有効にする。 お前はもう超一流のネクロマンサーじゃな… ワシに教えることはないよ」

老年の女性はそうおキヌに話して帰って行った


女性が帰った後、令子とおキヌは笑顔で話をしていた

「おキヌちゃんがネクロマンサーか～ これからはネクロマンサーの笛を中心に考えて、教えなきゃね」

令子は改めて、おキヌの今後を考えていた


「私、まだ信じられません。 私がネクロマンサーなんて…」

おキヌは少し不安そうにしていた

「まだ実戦経験が無いからね… でもあの人に認められたなら、大丈夫よ。 これからは、簡単な除霊から経験を積んでみましょう！」

令子は笑顔でおキヌに今後の方針を話した


「はい、お願いします。 学校のクラス対抗戦の前にやってみたいです」

おキヌは気合いを入れて返事した


クラス対抗戦で足手まといになるのは嫌だったのだ


それからおキヌは、学校の勉強の合間に令子と除霊を経験していった


おキヌはネクロマンサーマスターの言葉通り、最初からネクロマンサーの笛を使いこなしていた


六道女学院のクラス対抗戦までの半月で、おキヌは令子からネクロマンサーの笛を使った戦い方なとを学んだ




それから半月後


六道女学院のクラス対抗戦の日


横島と魔鈴は朝から準備をしていた

二人共この日の為に買った服を来て、魔鈴は美しく着飾っていた


「随分オシャレね… デートでも行くの？」

化粧をしている魔鈴に話しかけたのはタマモだった


「いえ、仕事ですよ。 六道女学院の霊能科の行事の審査員なんです」

魔鈴は不思議そうなタマモに説明した


「現代の退魔師も大変なのね…」

タマモは魔鈴に説明されてそう話した


「私と忠夫さんは、これでも結構有名なんですよ。 恥ずかしくない姿で行かないと…」

魔鈴は意外と嬉しそうに笑顔だった

なんだかんだ言いつつ、二人で人前に行くのは楽しみだった


「これでもって…、あんた達みたいな強力な退魔師は、初めて見たわよ」

タマモは横島と魔鈴の潜在的な力を知っている

そして、過去にもそんな人間は居なかっただろうと感じていた

そんな二人が有名なのは当然だと考えていたのだ


「いえ、力意外で有名になってしまったんですよ…」

魔鈴は少し苦笑いしていた

香港の映画が、あれほど大ヒットして有名になるのは、二人共予想外だったのだから…


「人間は面倒ね…」

タマモは未だに人間は嫌いだった

横島や魔鈴など、一部の人間は特別だと思っていたのだ