その一

魔鈴は笑顔を崩さないが困った感じで考えていた…

横島を女子高に連れて行くのは、あまり好ましくない

下手に騒がれるのが目に見えていた


そして魔鈴は目の前の人物を見る


(あまり六道家と争いたくはないんですよね…)

魔鈴はため息をついた


「しかたないですね… 今回だけ特別ですからね… 本来私達は除霊以外は全て断ってるんですから…」

魔鈴はしぶしぶ審査員を受けた


香港の映画の後

横島と魔鈴は、マスコミや除霊以外の仕事は一切受けて無かった…


だが、アシュタロス戦前に六道家と無用の争いは避けたかった…


「本当に~!? ありがとう~ これでおばさんも助かるわ~」

理事長は嬉しそうに話して帰っていった


「いろいろ大変みたいですね…」

理事長が帰った後、先ほどの様子を見ていた美衣が話した

「ええ… 人にはしがらみがたくさんありますからね… それにあの人を敵にはしたくないですし…」

魔鈴は苦笑いして美衣に話した


「私はあの人はダメですね… 化け猫は敏感ですので、言葉の裏を感じてしまいます。」


美衣は理事長の、のほほんとした口調や低姿勢な態度とは裏の、腹黒さが見えていた


その日の夕食の時…


魔鈴は自宅のリビングにある、大きなテーブルに皿を並べていた


異界にある魔鈴の家は広いのだ

インテリアは相変わらずで、昔のヨーロッパ映画のような部屋だったが…

横島は気にしなかった

美衣やケイやタマモは、初めて見る部屋に驚いていたが、妖怪な為見た目で物事を判断する訳では無く…

不思議そうに見ていたりしただけだった

カオスとマリアは、昔懐かしい部屋に日本家屋よりは落ち着くらしく、特に気にしていない


最近は、夕食をいつもそこでみんなで食べていた


魔鈴と美衣が料理をして、横島、ケイ、タマモ、カオス

そして、食べはしないがマリアも集まってみんなで食事していた…


魔鈴が皿を並べている時、美衣は料理をして、横島、ケイ、タマモはテレビを見ていた


カオスとマリアは相変わらず研究所にこもっている…



しばらくして魔鈴が横島達を呼びにきた

「ご飯が出来ましたよ~ 忠夫さん、カオスさん達を呼んできて下さい」


魔鈴が声をかけるとタマモとケイはリビングに向かった

そして横島は、近くにある研究所にカオス達を呼びに向かう


タマモは周りに多少距離を置いていたが、同じ妖怪の美衣やケイの存在が大きく、予想より早く周りに溶け込んでいた


特に美衣はよくタマモに話しかけて、横島や魔鈴との間を縮めるのに努力していた


タマモの気持ちを一番理解している上、横島や魔鈴のことを信頼している美衣が居なければ、横島や魔鈴はタマモの対応にもっと苦労しただろう…


そして一同揃って、その日も夕食を食べていた


「今日はお魚さんだー!」

ケイは焼き魚を見て、喜んで食べ始めた

「猫又はやっぱり魚が好きなのね~ 私は油揚げの方が美味しいと思うけどな~」

美味しそうに魚を食べてるケイを見ながらタマモは呟いた

「タマモちゃんには油揚げがたっぷりのおかずを用意してるわよ」

魔鈴はそう話して、タマモに油揚げの煮物や、油揚げ入りの野菜炒めなどを出した

「ありがとう…」

タマモは下を向いて、少し照れくさそうに話した


魔鈴はタマモの為に、毎日いろんな油揚げ料理を作っていた

タマモは新しい味の油揚げに、すっかりはまっていたのだ…


一見クールな感じのタマモだが、周りの温かい対応に自然と笑顔を見せる場面もあった


横島と魔鈴はそんなタマモを見て、内心喜んでいた


そんな和気あいあいとした夕食が終わり、時間は深夜…

横島と魔鈴は寝室で二人でお酒を飲んでいた

「忠夫さん。 いつの間にか、私達の周りは賑やかになりましたね…」

魔鈴はワインを飲みふと話した


「ああ…、美衣さんやケイも居て、未来の時より賑やかだもんな~」

横島は嬉しそうに笑った

気の許せる仲間に囲まれて、自分達は幸せだと感じていた


「そう言えば… 今日、六道さんが来ましたよ」

魔鈴は少し複雑な表情で話した
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