横島は歩きながら、敵の居ない時にカオスに話しかけた

「ヌルは地獄炉を持っている。 そのエネルギーでモンスターを作り、自身のエネルギーにも使っている…」

横島の話にカオスの顔は険しくなる

「地獄炉だと！？ それはまずいな… 魔族の奴が地獄炉からのエネルギーを利用しているなら地獄炉を止めないと勝てないぞ！」

カオスは考えながら歩いていた

「ああ、だから姫を救出したら、カオスに地獄炉を止めてもらいたい…」

周りの様子を見ながら横島は話した


「わかった… だが、お前たちはなぜそんなに詳しいのだ？ 未来で奴と戦ったのか？」

カオスはふとした疑問を横島に投げかけた…

「俺達とカオスは未来でちょっとした事故で、１０年ほど魂だけ逆行したんだ… 俺は逆行前にもここに来たんだ。 その時は偶然だったがな… 今回は事故で此処に来なかったから、自分で来たんだ」

横島は少し苦笑いして説明した


カオスは深く考え込んだ…

「何やら面白そうなことをしておるな…」

カオスはニヤリと笑った

未知への探求はカオスの知的好奇心を大いに刺激したらしい…

横島達はしばらく歩いていたが、姫は見つからない


そして、ヌルの研究室が最後に残った…

横島達は外から中の様子を窺う


「姫… まだ、諦めませんか？ ドクターカオスは捉えました。 最早助けは来ませんよ…」

ヌルは嫌みな笑みを浮かべてマリア姫に話した

マリア姫は壁に鎖で繋がれていた…

「私は死んでも貴様の妻になどならん！」

マリア姫はヌルを睨みつけて叫んだ


「いつまでその元気が持ちますかな… 姫の態度次第ではお父上やカオスの命が亡くなりますよ。」

ヌルはマリア姫を舐めるように見ながら話した

「クッ… 卑怯な…」


その時…

『ブチ』

何かが切れる音が横島には聞こえた


バタン！！


カオスがドアを破壊して室内に入り込んだのだ！

「姫！ 助けに来ましたぞ！」

カオスは銃をヌルに向けてマリア姫に叫んだ

「カオス様！ 来てくれると信じてました…」

マリア姫は目に涙を溜めて言った


「おのれ… カオス、あの部屋からどうやって出たのだ！」

ヌルはカオスを睨みつけて話した

「あの程度の扉など、私には無いも同じだ！」

カオスは自信満々に話した…


「俺達は邪魔者かな…？ カオスはいつの間にか自分で脱出したことにしてるし…」

扉の外では横島が苦笑いして状況を見ていた

「いつも冷静なカオスさんも、マリア姫の事になると熱くなりんですね…」

魔鈴はカオスとマリア姫の絆の深さを感じて、微笑んでみていた


「マリア、カオスがヌルの気を引いてるうちに、姫を助け出してくれ」

横島は真剣な表情に戻って話した

感心している暇はないのだ

「イエス・横島さん」

マリアは穏行の文珠の効果が効いてるうちに姫に近寄った


その間もヌルとカオスは対峙して話していた


「どうしても協力していただけませんか？ あなたと私が組めば不可能は無い…」

ヌルは余裕でカオスに話していた

「くどいな… 返事は一度と決めてるんだ。 それに… 過激派魔族と手を組むつもりはない」

カオスは鋭い目つきでヌルに言った


「何故それを！？」

ヌルは驚き叫んだ


「人造モンスターを大量生産して得をするのは、魔族だけなのだよ。 しかも一歩間違えば、世界の破滅だ… 神魔戦争でも始めるつもりか？」

カオスはヌルの考えを読み取ろうと話していた


「そこまで気付かれたとは… さすがはドクターカオスだ… その頭脳を失うのは残念だ… 実に残念だ… だが、此処で死んで貰わなければならない」


ヌルはそう話すとマリア姫を人質にとろうとしたが…


パキーン！


マリア姫を繋いでいた鎖が切られた

「掴まって・下さい」

マリアはすかさず姫を抱えてカオスの後ろに下がった


「貴様！ 何者だ！ いつの間に私の背後に回っていたのだ！」

ヌルはマリア姫を救出したマリアを見て叫んだ

「そんなことどうでも良かろう… 姫は確かに返してもらった。」

カオスはニヤリと笑みを浮かべて話した

「おのれ… カオス… どこまでも邪魔をする気か…」

ヌルは怒りの表情でカオスを睨んだ