その一

現代に帰ってから数日後…


令子は事務所で西条と話をしていた

「それにしても… 横島クンはどうなってるのかしらね~」

令子は相変わらず不機嫌そうに話した


「彼が霊能力に目覚めて数ヶ月か… 信じられないスピードで成長してるな…」

西条も難しい顔で話していた


「そんなにすごいんですか?」


考え込む二人におキヌがお茶を運んできた


「僕や令子ちゃんはトップクラスの霊能者だ… だが、僕達がここまで強くなるまでには何年も修行をして、たくさんの実戦を経験した結果なんだよ」

西条は不思議そうなおキヌに説明した


「今の横島クンは少なく見ても、私や西条さんと同レベルよ… 霊的格闘だけを見れば、私でも勝てないと思うわ…」

令子は悔しそうに話したが、おキヌは驚いた…

横島の実力と言うよりは、令子が横島を強いと認めた事に…

「それに文珠はあまりに危険だ… それが広まれば彼は利用しようとする人間や危険視する魔族に狙われるだろう…」


西条は険しい表情のまま話した

「そんな… これがそんなに危険な物なんて…」

おキヌは驚き、過去で横島にもらった文珠を見つめた


横島はおキヌから文珠を回収しなかった…


決して人に渡してはダメだと言って、おキヌにあげていた


それは横島が、令子の側に居るおキヌの身を案じたからだ


これから先、アシュタロス一派との戦いで横島が居ない以上、おキヌが一番危険なのだ

おキヌは文珠をお守りのように、袋に入れて首から下げていた…


「おキヌちゃん、絶対に人に見せてはダメだよ」

西条の言葉におキヌは頷いた


「こんなことなら手放すんじゃなかったわね… あんな便利な能力を持つなんて…」


令子は怪しい笑みを浮かべていた

令子の頭の中はお金でいっぱいだった


西条とおキヌはそんな令子に顔をひきつらせていた


「令子ちゃん、お願いだから変なことは止めてくれよ? 文珠も絶対に秘密にしてくれ…」

西条は令子に危険を感じて話した


令子は一瞬焦ったような顔をした

「わ… わかってるわよ…」


少し面白くなさそうに話した


「今の横島君を敵にまわすのはまずいからね…」

西条は疲れたようにつぶやいた


横島と魔鈴の人気は未だに落ち着いていなかった


香港の映画で人気が出たが、その後マスコミに一切出なかった横島達は更に人気に火をつけていた


GSとしても

新しい事務所だが、実力や実績も十分で、GS協会の評価も高い


そんな横島達を敵にまわすのは不利だった…


令子は実力や実績はトップだが…


異常なほど高額な報酬を要求する

更にお金が払えない客からは、危ない手段を使っても回収していた

客はもっぱら急ぎの仕事や大企業…

後は怪しい仕事ばかりだった

そんな令子の苦情はGS協会に絶えなかった…

なぜ令子がGS免許を剥奪されないかと言えば…

業界ナンバーワンと言われる実力を放置も出来ない

それに六道家とも親しい

その2つが理由だった…


その結果、関わってはいけないGSとしても有名で、GS協会のブラックリストに乗っていた…



令子と横島が争えば、令子が負ける可能性が高かった


「あんな奴があれだけ成長するなんてね…」

令子はシミジミ言った


「ノスフェラトゥを倒したのも、横島君と魔鈴君なんだろ? 信じられないな…」

「ええ、光秀様は気絶してました… どこまで戦ったかわかりませんが、トドメを刺したのは横島さん達だと思います」

西条が首を傾げて話したのにおキヌが答えた


「ノスフェラトゥの実力はハンパじゃなかったわ… 文珠があるとしてもまさか勝てるとは…」

令子は考えながら話した


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