その一

横島や魔鈴

そしてノスフェラトゥは周りを炎で包まれていた


「右胸だけじゃ死なないよな… 左胸にも急所があるんだから」

横島は再び霊波刀を構えて言った


「貴様何故それを!」

ノスフェラトゥは驚き横島を見る


「終わりにしよう。 ノスフェラトゥ… 地獄に送ってやるよ」


横島と魔鈴は見つめ合い

静かに微笑んだ


その瞬間…


二人は霊力を解放した!


ゴゴゴゴゴー


横島と魔鈴は中級神魔の力をほとんど解放した


ノスフェラトゥはその力を見て焦り始めた…


「貴様ら… 何者だ! 人間ではないな!!」


ノスフェラトゥは警戒しながら叫んだ


横島と魔鈴は何も答えない


真剣な表情でノスフェラトゥに向かった


「風よ… 氷よ… かの者を縛る鎖となれ」


魔鈴はノスフェラトゥに魔法を放つ


魔鈴が使ったのは

風と氷の複合魔法


それによりノスフェラトゥは、風と氷に固められ動けなくなった


いかに霊力を解放した魔鈴の魔法でも、ノスフェラトゥを長い間抑えるのは無理だ……


だが…


横島にはその一瞬で良かった

魔鈴が魔法を使った瞬間…


横島が消えた…!


横島は超加速を使っていた


周りが止まったような中…


横島はノスフェラトゥの左胸に霊波刀を突き刺した!


ズシャッ!!


横島は解放した霊力を霊波刀に注ぎ、一瞬で勝負を決めた


再び横島が表した時には…


ノスフェラトゥは両胸に穴が開いて、血が流れ出していた…


「馬鹿な… ワシが一瞬で… おのれ…」


ノスフェラトゥは力が抜けていく中、横島と魔鈴を睨む


「2つある心臓も霊体の急所も貫いた。 今度こそ終わりだ。」


横島はそう言って文珠を出した

込めた文字は【浄】【化】


文珠が光ってノスフェラトゥを浄化する光になる


「いかに魔族でも、消滅する時に浄化されたら復活は出来ない。 永久の眠りにつけ…」


「おのれー!! 後少しで、世界を我が手に出来たものを…」

ノスフェラトゥは最後まで横島と魔鈴を睨みつけて


消えていった……


横島はノスフェラトゥが消えた後を見て呟いた

「お前を倒したのは光秀だよ。 光秀が己の全てをかけて世界を救おうとしなければ… 俺達は手を出さなかったかもしれない」


横島は昔を思い出していた…


自分の命

家族や仲間


全てを捨てて世界を守ろうとした光秀


その苦しみや悲しみを一番理解してるのは横島だった…


横島も一度は世界を救ったのだから…


自分の命より大切な恋人と引き換えに…


横島はそんな光秀の全てをかけた望みを叶えてやりたかったのだ…


「忠夫さん…」


魔鈴は横島を抱きしめた


「めぐみ…」


横島も魔鈴を抱きしめた


横島は静かに涙を流していた…


「今度は守れた… 何も失わずに… 守れた…」


横島は魔鈴を抱きしめながら呟いた


「ええ… みんなで帰りましょう。 現代に」

魔鈴はそんな横島を優しくなだめた



横島は光秀を抱えて魔鈴と脱出した



「横島さん!」

「横島クン!」


二人が外に出ると令子とおキヌが駆け寄ってきた


「横島クン、ノスフェラトゥは!?」

令子は横島達が無事なのを確認して聞いた


「ノスフェラトゥは退治しました。」

横島は令子達に微笑んで話した



その後…

光秀は無事意識を取り戻した



京都の某所

光秀の本陣に光秀と横島達がいた


「そなた達には本当に世話になった。 約束の礼金だ」

光秀は横島達の前に千両箱を置いた


「俺達は帰ります。 光秀様… この先、何があっても生き抜いてこの国を見守って下さい」

横島は真剣な表情で光秀に語りかけた


それは未来を話せない横島の、光秀に対する最大限の言葉だった…


「わかっている… 私は天下が欲しい訳ではない… 私はいずれ死んだことにする。」


光秀は横島が言いたいことを、気が付いていたのかもしれない…


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