その一

「うーん… 封印とかなら可能かもしれないが、倒すのは難しいぞ? どう考えても中級魔族の力はあるだろうし… 周りには吸血ゾンビがいる可能性も高いんだろ?」

横島は魔鈴に聞いた

「ええ、ノスフェラトゥは血を吸った相手をゾンビにするはずです。 ですが、信長に変わっているなら最低限以外は、ゾンビはいないとは思うのですが…」

魔鈴はそう話して考えこんでいた

今回は自分達が来たからいいが、前回は居なかったはずである

そう考えると前回どうやって乗り切ったのかが気になった


「光秀ほどの男なら、何かしらの勝算はあったと考えるのが普通だよな~」

横島も首を傾げて話したが

答えは思い浮かばなかった…


「私達の力があればゾンビ化はしないでしょう… ですが、おキヌちゃんと、美神さんは気をつけなければなりません」

魔鈴は険しい表情になり戦いに向けて考え始めた

「そうだよな… マリアにはおキヌちゃんの護衛を頼むしかないし… 美神さんはどこで会えるかわからないからな~」

横島は困ったように話した

「美神さんも厄介なことに関わりましたね…」

魔鈴は疲れたように話した

「まあ、一獲千金でも狙ったんだろ? 普通に旅費を稼ぐなんて考える人じゃないしな…」


横島は呆れたように話した


実際横島の予想は当たっていた…

ノスフェラトゥを倒せば、光秀から相当の小判が貰える約束で令子は引き受けたのだった

この時代の小判なら、未来に持って帰ればかなりの価値になる

守銭奴の令子はその誘惑に勝てなかったのだ…



そんな時、おキヌがやって来た

「お邪魔でしたか?」

おキヌは横島と魔鈴を伺うように話した

「おう! おキヌちゃん。 邪魔なんかじゃないよ」

横島と魔鈴は笑顔でおキヌを迎えた

おキヌは横島の隣に座ってゆっくり話し出した


「不思議ですね… ここは私が生まれる前の時代… 私が400年後に生き返ってここに来るなんて…」

「この世界大抵なんでもありだけど、300年幽霊やってて生き返ったのはおキヌちゃんくらいだろうな~ その上時間移動なんてめったに体験出来ないよ」

横島は笑いながらおキヌに話した

「横島さん… たくましくなりましたね… 私と出会った時から考えたら信じられないくらいに…」

おキヌは横島の話に笑顔だが少し寂しそうに話した


「俺の力じゃないよ。 たくさんの素晴らしい人達に助けられたからな… めぐみやおキヌちゃんや仲間達にな…」

横島はおキヌに微笑んで話した

(それに…… ルシオラ…… お前に会えたからな……)

横島は心の中で呟いた…


魔鈴は横島の一瞬の表情の変化に気がついていた

そして、横島が何を考えているのかも……

魔鈴は何も言わずに横島の手を握った


横島はそんな魔鈴を見て、嬉しそうに微笑んだ


おキヌはそんな横島と魔鈴を見て複雑な気分だった

だが…

横島の幸せそうな姿は嬉しくもあった

「それは違いますよ。 私は横島さんに出逢えたから生き返れたんです。 横島さんはもっと自分に自信を持っていいと思いますよ」


おキヌは横島に微笑んでそう話した

「おキヌちゃんの言うとおりですよ。 忠夫さんだから私もここにいる… 少しは自分の価値を理解して下さいね」
昔に比べればかなり改善されたが、いまだに自分の価値が低い横島に

魔鈴は少し困ったように笑って話した


横島は首を傾げて笑って話を聞いていた

そんな会話をして、1日が終わった…


本能寺までは後少し……


そして光秀が信長を討つ日も後少しだった……


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