その一

横島は薪割りをしながら難しい顔で話した

「城下町に行って妙神山までの旅費を稼ぐつもりでしょうね… ここから妙神山は遠いですから…」

魔鈴はため息をついて話した

「美神さんのことだから、また悪霊退治でもするつもりたろ?」

横島は平安京に行った時を思い出して引きつった顔になる


「あまり目立つのは避けた方がいいのですがね… そう言えばこの辺りの大名は明智光秀でしたね」

魔鈴もお金を荒稼ぎしている、令子の姿を思い浮かべて苦笑いしていた


「明智光秀か… なかなかの知将の大名だよな~」

横島は薪割りを終えて一休みして魔鈴と並んで座っていた


「確か最後は主君の信長に謀反を起こして失敗したんでしたよね… そう言えば… 本能寺の変は1582年じゃなかったでしたっけ?」

魔鈴はうろ覚えの記憶を思い出して首を傾げていた


「うーん、俺は本能寺の変の年号は知らないぞ?」

横島はさほど歴史に詳しくなく知るはずは無かった

「マリアなら知ってるかしら? 聞いてみましょうか?」

魔鈴は横島を見て話した
横島は頷いて二人で部屋に戻ってマリアに聞いてみた

「イエス・ミス魔鈴・本能寺で織田信長が亡くなったのは・1582年・6月21日です」

マリアは記録にある本能寺の変の日時を話した

横島と魔鈴は驚いて顔を見合わせた…

「偶然かな?」

横島はつぶやいた

「わかりませんが… 意味があるとしたら一体なんの意味が…」

魔鈴は首を傾げる

「今日は6月3日です・本能寺の変まで18日です」

マリアは横島達に今日の日にちを話した

「とりあえず、明日城下町まで行くしかないな~ さすかの美神さんも歴史上の重要な戦に関わるほど馬鹿じゃないだろうしな…」

横島は考えながは話した

「普通に考えたら関係無いんですが… 美神さんですからね」

魔鈴は不安そうに話した

魔鈴も横島も、令子がトラブルによく巻き込まれる上、お金の為ならなんでもする

その事実に嫌な予感がした……



横島達はその日は住職の好意で、夕ご飯までご馳走になり休んだ


「本当にいい住職だな~」

横島は隣で横島の腕枕で横になっている魔鈴に話しかけた


「ええ、そうですね… 決して裕福ではないのに… ここの住職は人徳があり、町の人々から信頼が厚いそうです。」

魔鈴は横島に抱きついて話していた

「こんな人達が幸せになれればいいけどな…」

横島もそう話して魔鈴を抱きしめた

二人はお互いの温かさを感じながらゆっくり眠っていった…


次の日

横島達は朝早く起きて出発した

「住職、本当にありがとうございました。」

横島達は深く頭を下げた

「この辺りはまだ安全たが、城下町までの山には山賊が出る。 気をつけて向かわれよ。」

住職は笑顔で横島達を送り出した

横島達は町で食料を買って、城下町目指して歩き出した


「この時代も慣れてきましたが不思議ですね~ 時代劇でも出ているみたいです」

魔鈴は笑って話した

「まあな… まさか戦国時代で旅をするとはな~ カオスを連れてきたら水戸黄門みたいになるな~」

横島と魔鈴はカオスの黄門様姿を想像して笑ってしまった

「うふふ、雪之丞さんもいたらちょうどいいですね~ 横島さんと二人で助さん格さんで…」

「じゃあめぐみがお銀かな? マリアは…… 風車の弥七かな?」

横島と魔鈴は緊張感無く笑いながら歩いていた

どうもツボにはまったようだ…

「ノー・マリア・風車投げれません。」

マリアは横島に冷静に話した

「ごめんよ。マリア、冗談だからさ」

横島は不思議そうなマリアに苦笑いして謝った


横島達はあまり急いで向かうのは無理だった

心眼が周囲数キロを遠視して令子とおキヌを探しながら進んでいたため、あまり早く進めなかった

横島と魔鈴も遠視は出来るが、心眼が一番精度が高かった



そうして旅は続いていった…

その日の夜は手頃な泊まる場所が無く、山奥の無人の荒れ寺に野宿することになった

魔鈴は火をおこして、朝に買った食料を同じく買った鍋で煮て夕食の準備をしていた

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