「今回は西条先輩の顔を立てておきます。 でも、一つ貸しですからね？」

魔鈴は笑顔でしたたかに貸しを強調した

「ああ、わかっている。 Ｇメンが設立してすぐに撤退なんてなったら大変な事になるからね…」

西条は疲れたように話した

「西条さん、美神さんはどうしてますか？」

横島は少し真剣な表情で話した


「令子ちゃんはしばらく休んでもらうことにした。 彼女はああ見えて、意外と弱いからな… 落ち着いたら本人に謝罪に来させるから勘弁してくれ…」


西条は困ったように話した

「わかりました。 もう終わったことだしいいですよ。」


横島もこれ以上令子を追い込むのは得策でないと思った

アシュタロス一派との戦いがある為、令子には立ち直ってもらわねば困るのだ…

前回は横島が令子のアシスタントだった為、問題にならなかった

今回もあまり問題を大きくすれば歴史が変わってしまう


そうして
横島は今回もミイとケイを助けることが出来た


令子と横島達は相変わらず微妙な関係なのだが……



そしてその日の夜は、ミイとケイの歓迎パーティーを開いた

呼んだのは唐巣神父、ピート、雪之丞を呼んだ

横島と魔鈴とドクターカオスとマリア


たくさんの人間に囲まれてケイは初め緊張していたが、元々人間と妖怪を気にするメンバーで無いため、楽しい時間になった


ケイはたくさんの人間の友達が出来て嬉しそうだったし

ミイはそんな息子の姿に微笑みを絶やさなかった


それ以降
横島は暇があればケイと遊んだりした

かつてのように竹トンボを作ったり、様々な遊びを教えてやった


そうして事件は一応の解決をみた



一方
横島に負けた令子は不安定だった

一人で居るときは落ち込むが、おキヌや西条が居れば強がっていた

おキヌや西条はそれを理解しつつ、令子を支えていた


令子は強くならなければと考えていた

わずか数ヶ月で横島はあまりに強くなった

自分も負けてばかりはいられない


令子はおキヌと二人で妙神山に行った


妙神山に着くと小竜姫が二人を迎えた


「あら、美神さんにおキヌさん、久しぶりですね… どうかしましたか？」

いつもの笑顔で小竜姫は迎えたが、令子の様子がおかしいのに気がついた


令子は静かに小竜姫にこの前の話をした…


意地っ張りな令子が相談出来る相手は、小竜姫くらいしか居なかった

神様の小竜姫には多少は素直に相談出来た
小竜姫は令子の話に複雑な表情をした

「確かに横島さん強いです… 恐らく美神さんを超えています。 私が貸した竜神の装備をつけたとはいえ、私とメドーサと対等に戦えた… しかも超加速まで使ってみせました。 初めて会った時から才能は感じてましたが… 私の予想を超えています。」


小竜姫の話に令子は改めて驚いた

自分も天龍童子の時に竜神の装備を借りて、メドーサと戦ったが対等に戦うのは無理だった…


しかも超加速まで使うとは……


そんな令子の表情を見て小竜姫は静かに話しかける


「悔しいですか…？ かつてあなたの元に居た彼が、違う人の隣で驚異的な成長をしていることに…」


令子は小竜姫の言葉に表情が曇る


自分はそんな積もりは無かった


たかが荷物持ちのバイトがどうなろうと関係無い

そう思っていた

いや思おうとしていた


だがいつまでも
気持ちはすっきりしない

そんな様子を小竜姫は静かに見ていた


（美神さん、あなたにとって横島さんは大切な存在だったんですよ…）

小竜姫はそう話そうとして止めた

今更話して自覚しても、もう横島は戻らないと理解していた

「美神さん、同じ過ちを繰り返さない為に修行しましょうか？」

小竜姫は結局そう話すしかなかった


令子の性格では強くなって自分を保つしか無いだろう


横島のように彼女を支えてやれる人は、なかなか現れないだろうから…

「お願いするわ。 一週間は居るから基礎からお願いね」

令子もすっきりしない気持ちにケリをつける為にも力を求めた