その一

ピートはテレビなどで有名になるのが怖かった

自分はバンパイアハーフなため、迫害を受けるのでは?

そう考えていた


長い時間生きてきたピートが迫害を受けたのは一度や二度ではなかった

今は唐巣や横島達のおかげで平和に生きているが、唐巣や横島のように人外を平等に扱う人がいかに貴重で少ないか

ピートはよく理解していた


「お前は美形だからモテモテでいいだろ~ 俺はテレビに出るメリットが無いんだよ!」

横島はピートの気持ちを知らないため
逃げようとする


そんな時
先生が教室に来て、横島とピートを職員室に連れて行った


「横島とピート、今日は1日お前達の学校生活に密着するそうだ。 学校のイメージもあるし、頑張ってくれ」

校長が横島とピートを前にして話した

「先生… 俺は聞いてないですよ! テレビなんて嫌です。 今日は早退します!」

横島は校長に詰め寄った


「担任から聞いてないのかね? 学校の為にもお願い出来んか? 今更断れないし… 無論タダとは言わん! お前達の今までの出席日数足りない分、全部チャラにしよう。 それにこれからも仕事で休むなら極力配慮する」

校長は困った顔で考えながら話した


校長もあちこちから取材をお願いされており断れなかった



横島は少し考えた

高校を卒業しないと親がうるさい

しかもこれからアシュタロス戦に向けて欠席も増えるはずである


未来ではGメンが手を回しなんとか卒業出来たが、あまりGメンに借りは作りたくなかった


「しかたないですね… 出席日数の件はお願いしますよ。 これからも仕事で休むことがあるでしょうから…」


横島はしかたなく取材を受けた

ピートはあまりいい顔をしてないが人がいいため、結局断れなかった



そうして1日
横島とピートはカメラの撮影をされながら授業を受けた

机の妖怪愛子も二人と一緒に結構映っていたが

タイガーは当然映ることはなかった…


横島は未来で魔鈴の店で接客などを経験した記憶があるため、接客のように自然な笑顔で対応した


一方プレッシャーに弱いピートは1日中、地獄のような気分で緊張の連続だったのはしかたないだろう


その日1日が終わってピートは疲れたように帰っていった



密着取材は後日、映画の舞台裏としてテレビで流された


横島やクラスメイトが、妖怪の愛子やバンパイアハーフのピートと当たり前に仲良く学校生活をしている

その環境は映画とまた別の意味で話題になる…


それは人と妖怪が共に生きる社会

それを願う数少ない人々に希望をもたらすキッカケとなることになる



一週間後
横島は事務所で魔鈴と今後の相談をしていた

予想以上に映画がヒットした為に
横島と魔鈴に取材やテレビ出演の話がたくさん来ていた…


「忠夫さん… テレビや取材はどうしますか?」


魔鈴は困ったように話した

「まさかこんなことになるとはな 前回以上にヒットしてるからな~」


横島は首を傾げながら話していた

ヒットした理由がわからなかったのだ
しかも自分が注目されてるのが不思議でしかたなかった

「今の忠夫さんは中身は大人で魅力的ですからね…」

魔鈴は自分に自覚の無い横島に苦笑いしながら話した

「自分では変わったつもりは無いんだがな… まあセクハラは辞めたけどな」


過去の自分を思い出して横島は考えていた


「それが一番大きいんですよ… でも未来でルシオラさんの件があって、私と結婚して… 忠夫さんは成長しましたよ 本当に魅力的な男性に」


魔鈴は微笑んで話した


「うーん、イマイチ実感が無いな~ 今もモテる訳じゃないし…」


そう話す横島を見て苦笑いしか出ない魔鈴だった

横島は未だに自分の評価が低すぎるから…

GSとしてはある程度自信がついたが、男としては未だに自信を持っていない


実際横島が自覚すれば学校や街でかなりモテるだろう…

西条先輩以上に…


映画の影響がある今ならやりたい放題だろう

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