「どっちにしても俺達には関係無いよ」

横島は考えながら魔鈴に話した


「美神さんはやはり一時的にしろ、Ｇメンに入ったみたいですね…」

「ああ、いつまで続くかな…」


二人は令子の性格を考えて苦笑いしていた…



数日後
横島と魔鈴は新しい事務所を買った


築１５年の５階建てのビルである

ＧＳの商売柄、事務所も危険があるため

賃貸や１フロア買うよりも建物一つ買ったほうが安全だからである


一階には魔鈴が店を開けるようなスペースがあり、いずれアシュタロス戦が終われば魔法料理魔鈴を開くだろう


ビルはすぐ、大規模改築と補強工事にとりかかる予定である


改築はカオスが進めており、霊的防御も考えているため、余程の敵でなければ安全なようにした



それからひと月程で改築が終わり
魔鈴魔法事務所を横島のアパートから移した


横島の部屋は悩んだがそのままにしておくことにした

まだ小鳩と出会って無い上、横島の両親に説明するのが面倒なためである…


引っ越しは

基本的に魔鈴と横島の家も、カオスの研究所も異界にあるため

横島のアパートにある少ない事務所の荷物を運ぶだけである…

引っ越しを知った唐巣がトラックを借りて来てくれて、ピートや雪之丞やタイガーが来てくれたのですぐに終わった


そしてその日のうちに事務所の整理が終わって

横島と魔鈴はみんなにアルバイト代を出そうと話したが、仲間だからと断られた


そのため魔鈴は唐巣達に夕食をたくさん振る舞っていた

普段ロクな物を食べてないからか、みんなすごい勢いで食べていた…


それを魔鈴と見ていた横島は

（俺もめぐみに会うまではあそこに居たんだよな……）

そう考えて苦笑いしていた

横島自身も未来で魔鈴と付き合って、毎日しっかりご飯食べれるようになっても

しばらくは毎日がっつくように食べていた

そんなことを思い出していた

「昔は忠夫さんもあんな食べ方でしたよね～」

魔鈴はふと懐かしそうに話した

どうやら考えてることが同じだったようだ…


二人は見つめ合い、そっと手を繋いでいた……


いつの間にか甘い世界を作っていた二人に
唐巣とピートは微笑ましいと思い

タイガーと雪之丞は少し羨ましそうに見ていた


「横島さん… いいですのー」

「ママに似ている…」

二人は小さく呟いた


それからしばらくは平和な日々だった

そんなある日
横島が学校に行くと学校中が騒がしかった


横島は教室に入って愛子やピートやタイガーに挨拶した

「おはよう。 今日なんかあるのか？ テレビ局の車がたくさん来てるが…」

横島は不思議そうに話した

「横島君聞いてないの！？ 今日はあなたとピート君に密着取材するって話だよ？」

愛子は驚いたように話したが、横島は更に混乱した

「…は？ ピートはわかるが、何で俺まで取材されなきゃならないんだ？」

ピートはＧＳで美形のバンパイアハーフなため、取材を理解出来た

だが自分が取材を受ける理由は思いつかなかった

「横島さん、本当に聞いてないんですか？ 香港の時の映画が公開されて大ヒットしてるんですよ！ それの取材ですよ」

「あれはお前達は出たが俺はスタントだけだろ？」

ピートが何も知らない横島に驚いたように話したが

横島は未来の記憶から勝手にスタントだと思い込んでいた…

愛子はそんなボケてる横島に呆れた視線を向けていた

「横島君、自分の仕事くらい確認しようね… 横島君と魔鈴さんは主演扱いよ…」


横島は愛子の話に固まってしまった…


横島は気がつかなかったが…

最近横島が学校に居ると映画の話題で横島は人気になっていた

休み時間や放課後に横島をチラチラ見に来る女の子がたくさんいた

横島はピートを見に来ていると勝手に勘違いしていたが

実は半分は横島を見に来ていたのだった…


「俺は聞いてないぞ…」

横島は困ったように呟いた

「僕も昨日聞きましたからね… 学校に来る以上拒否も出来ませんし…」

ピートも少し困ったように話した


「ピート、愛子、俺は今日は早退するわ…」


横島はグッタリしたように逃げ出そうとした


だがピートが横島を捕まえて離さなかった

「横島さん！ １人だけ逃げないで下さいよ！ 僕１人残されても困ります！」