その三
予想外のプロデューサーの反応に、魔鈴は驚きの表情を浮かべる
40代後半くらいのプロデューサーが、20代の魔鈴のワガママを真剣に受け止めたのはさすがに予想外だった
「そうですね。 私達の考えを少しお話しましょう」
真剣なプロデューサーに応えるように、魔鈴も語り始める
「まずは人外の者についてお話します。 一般にはあまり知られてませんが、妖怪や幽霊にも個性があるんですよ。 それに中には人間と共存してる者も少なからず居ます」
少し柔らかい表情になった魔鈴は、妖怪や幽霊など退治される側の事から話し初めていく
途中で最もわかりやすい一例として愛子の現状を話したりしながら、通常一般人が知る事がない妖怪や幽霊側の現実をプロデューサーに説明していた
「そんな話、初耳だぞ……?」
GSなど退治する側の話はプロデューサー自身も何度か聞いていたが、退治される側の話は初めてだった
妖怪や幽霊もそれぞれに心があり、人間と敵対する妖怪も居れば共存を望む妖怪も居るなど誰も話さなかったのだろう
無論最前線で戦う霊能者は知る者も多いが、ほとんどの霊能者はそこには触れないのが当然である
良心的な霊能者は無害な妖怪や幽霊を密かに逃がす事はあるが、ある意味それが霊能者の限界なのだ
非常にデリケートで難しい問題なために、普通の霊能者はその部分に関わろうとさえしない
妖怪や幽霊を助けて得をする事などまずない上、助けた妖怪が問題を起こせば霊能者が責任を問われるのだ
妖怪が人間と共存するのは楽ではないし、正体がバレたら理不尽な扱いや危険に晒される事もよくある話である
人間は妖怪をいつでも好きなように扱えるのに、妖怪は権利も無く口論する事さえ許されない事が多い
そんな現実では、普通の霊能者が退治される側の事情など考慮するのは不可能である
まして部外者のテレビ局のプロデューサーに、そんな真実を伝える者はいなかったようだ
「事は非常にデリケートな問題です。 退治される側の事情など、世間に知らせたくないと考えるGSも多いのでしょう。 まして宗教関係の霊能者には、神の教えを守る自分達が正義だと信じてる者も多いですから」
少し悲しそうに語る魔鈴の姿がプロデューサーには印象的だった
問題の根源は世界の在り方や神魔が関わるほど難しい
プロデューサーは魔鈴の話に驚愕しつつ、自分ではとても理解できる事でないと悟っていた
「あなたはそれを世の中に知らせたいのですか?」
魔鈴に尋ねるプロデューサーの声は僅かに震えている
先程語った真実を世界中の人間に教えれば、世界はどれほど混乱するかわからない
「いえ、今はそれを望みません。 今現在も静かに隠れて生きている多くの人外達が危険に晒されますから…… ただ私達は、妖怪や幽霊などを一律で悪だと決め付ける事には協力出来ません」
魔鈴の言葉にプロデューサーは、返す言葉が浮かばなかった
魔鈴の確固たる信念を知ったのは収穫だが、これをどうすればいいのかわからない
結局プロデューサーは、交渉を継続する事だけを魔鈴に頼みこの日は帰っていく
40代後半くらいのプロデューサーが、20代の魔鈴のワガママを真剣に受け止めたのはさすがに予想外だった
「そうですね。 私達の考えを少しお話しましょう」
真剣なプロデューサーに応えるように、魔鈴も語り始める
「まずは人外の者についてお話します。 一般にはあまり知られてませんが、妖怪や幽霊にも個性があるんですよ。 それに中には人間と共存してる者も少なからず居ます」
少し柔らかい表情になった魔鈴は、妖怪や幽霊など退治される側の事から話し初めていく
途中で最もわかりやすい一例として愛子の現状を話したりしながら、通常一般人が知る事がない妖怪や幽霊側の現実をプロデューサーに説明していた
「そんな話、初耳だぞ……?」
GSなど退治する側の話はプロデューサー自身も何度か聞いていたが、退治される側の話は初めてだった
妖怪や幽霊もそれぞれに心があり、人間と敵対する妖怪も居れば共存を望む妖怪も居るなど誰も話さなかったのだろう
無論最前線で戦う霊能者は知る者も多いが、ほとんどの霊能者はそこには触れないのが当然である
良心的な霊能者は無害な妖怪や幽霊を密かに逃がす事はあるが、ある意味それが霊能者の限界なのだ
非常にデリケートで難しい問題なために、普通の霊能者はその部分に関わろうとさえしない
妖怪や幽霊を助けて得をする事などまずない上、助けた妖怪が問題を起こせば霊能者が責任を問われるのだ
妖怪が人間と共存するのは楽ではないし、正体がバレたら理不尽な扱いや危険に晒される事もよくある話である
人間は妖怪をいつでも好きなように扱えるのに、妖怪は権利も無く口論する事さえ許されない事が多い
そんな現実では、普通の霊能者が退治される側の事情など考慮するのは不可能である
まして部外者のテレビ局のプロデューサーに、そんな真実を伝える者はいなかったようだ
「事は非常にデリケートな問題です。 退治される側の事情など、世間に知らせたくないと考えるGSも多いのでしょう。 まして宗教関係の霊能者には、神の教えを守る自分達が正義だと信じてる者も多いですから」
少し悲しそうに語る魔鈴の姿がプロデューサーには印象的だった
問題の根源は世界の在り方や神魔が関わるほど難しい
プロデューサーは魔鈴の話に驚愕しつつ、自分ではとても理解できる事でないと悟っていた
「あなたはそれを世の中に知らせたいのですか?」
魔鈴に尋ねるプロデューサーの声は僅かに震えている
先程語った真実を世界中の人間に教えれば、世界はどれほど混乱するかわからない
「いえ、今はそれを望みません。 今現在も静かに隠れて生きている多くの人外達が危険に晒されますから…… ただ私達は、妖怪や幽霊などを一律で悪だと決め付ける事には協力出来ません」
魔鈴の言葉にプロデューサーは、返す言葉が浮かばなかった
魔鈴の確固たる信念を知ったのは収穫だが、これをどうすればいいのかわからない
結局プロデューサーは、交渉を継続する事だけを魔鈴に頼みこの日は帰っていく