その一

それから一行は香港へ行った

横島と魔鈴は当然唐巣と一緒に行ったが、令子もついてきた

どうも土角結界に巻き込まれたのが頭にきたらしい。


「とりあえずどこかに宿を取って、詳しく話を聞いて作戦を立てないといけないね」

唐巣は空港でみんなに話した


「にしても雪之丞、随分まずい展開にしたな…」

横島が呆れたように話した

「しかたないだろ~ 不意をつかれて金が用意出来なかったんだ。 キャッシュカードを使ったら勘九朗に見つかって教会までバレるなんて思わないだろ~」

雪之丞は横島に言い訳をした


「雪之丞は戦闘はすごいんだがな~」

横島が苦笑いしながら言った
魔鈴も横島の隣にいて苦笑いしていた

令子とピートもヤレヤレといった顔をしていたが

「とりあえず行こうじゃないか…」

唐巣がその場を収めて、一行はホテルを取り
雪之丞が腹減ったと騒ぐので、昼食を食べながら話し合いになった


一行は昼食を食べ終わり、後は雪之丞一人食べていた

「雪之丞君すまないがそろそろ話をして欲しいのだが…」

横島と魔鈴とピートはゆっくりお茶を飲んで話していたが
令子はイライラしていた

令子のイライラに困った唐巣が雪之丞に話した

「ああ、今回俺はある人の依頼で、香港で有名な風水師が行方不明になった事件を調べてたんだ…」

ようやく始まった話にみんな雪之丞を見て話を聞く

「詳しいいきさつは省くが俺が突き止めたのは連中があの『針』を作ってる場所だった… 連中は風水師の生き血を『針』に吸わせていたんだ…」


その話に唐巣や令子やピートは悲惨な事実に顔を歪めた

横島と魔鈴も知っていたがどうしようもない事実に難しい顔をした

「なぜそんなことを…?」

令子が雪之丞に話を迫る

「元始風水盤って知ってるか?」

その発言に唐巣と令子がハッとした顔になる

「じゃあ奴らはあれを…!」

「さすが察しがいいな」

令子と唐巣は元始風水盤を理解したようだ

「元始風水盤ってのはいったい何なんです?」

ピートが唐巣や令子を見ながら聞いた

「あれは地脈の流れを思い通りに変える事ができるんだ」

唐巣が険しい表情で説明した
「そうか!! 地上のバランスは意のままにくつがえすことが出来る…」

「ああ、地震はもちろん霊的にも世界中を混乱におとしいれることが出来る!」

ピートが理解して唐巣が怒りを見せながら言った


「もし実行されれば、ハルマゲドンが起きますね… 神や人を駆逐して魔族の世界を作ることも可能かも知れません…」
しばらく黙っていた魔鈴が静かに話した


「俺はドクターカオスを呼んできます。 もし元始風水盤が発動して止めるならカオスの力が必要ですから…」

横島はそう言って電話しに行った

横島が居なくなって令子がふとつぶやいた

「横島クンって魔鈴が来てから随分たくましくなったわね… 少し前なら考えられなかったわ…」

それは不思議そうな寂しそうな表情だった…

「彼は今が成長期なんだろう… 今あれほど出来るなら… いずれ私を超えるかもしれないね…」

唐巣が冷静に話した

事実を知る魔鈴は黙って微笑んでいるだけだった


横島が戻ると微妙に空気が変わっていた

「なんかありましたか?」

横島は不思議そうに唐巣に聞く

「いや、特にないよ。 では次の行動を決めようか」

唐巣は座った横島を見て話を進めた

「メドーサの居場所はわかってる。 針はもう元始風水盤にセットされてるだろう… アジトの入り口は分からなかったが、アジトに繋がる地盤の亀裂は見つけてある…」

雪之丞はピートを見てニヤリと笑う

「僕がバンパイアミストで潜入すれば行けますね。」

雪之丞の意図をピートが理解して話すが

「雪之丞。罠を張られたら捕まりに行くようなもんだぞ?」

横島が未来の記憶から雪之丞に話した

「僕のバンパイアミストならもう一人連れて行けます。 二人でならなんとかなるでしょう…」

ピートが唐巣を見て意見を伺う

「それしかないだろう… 時間も少ない 他の入り口を探す時間はない。」

唐巣は険しい表情で話した
唐巣もその危険は理解しているが、元始風水盤を発動する前に針は奪わなければいけない!
20/100ページ
スキ