その二

そんな職場体験も無事に終わり現地解散になった横島達は、帰宅ついでに愛子と加奈も事務所に遊びに来ていた


「本当に凄かったわ。 プロの料理人も凄かったけど、一番驚いたのが横島君の料理の腕前よね」

プロが料理をする姿を始めて見た愛子と加奈は嬉しそうに語っていくが、話が横島になると興奮気味になる

実際横島が作った料理は、ホテルに出せるレベルだったと料理人達が驚き騒いでいたのだ

愛子や加奈は、そんな信じられないような横島の腕前が一番の驚きだったらしい


「そうですか… 忠夫さんには少し前から料理を教えてますからね。 私はいずれはレストランを開きたので、以前から料理も勉強してたんです」

二人の話にまた横島がやり過ぎたのだと理解した魔鈴は内心ため息をはき、話のつじつまを合わせるように語っていく

将来的にGSを辞めた後を考えて、今から料理の勉強をしているなどと言ってなんとかごまかしていた


「横島君も似たような事言ってたけど、なんでGSを辞めた後の事まで考えてるんですか?」

魔鈴の具体的な夢に加奈は不思議そうに尋ねる

他人から見れば魔鈴は、GSとして成功しているように見えた

何故わざわざ辞めて別の仕事をしようと考えるか、理解出来ないようだ


「あまり知られてませんが、GSはとても危険な仕事なんですよ。 毎年かなりの死亡者が出てますし… 私や忠夫さんは将来的には、平和に暮らしたいと思ってるんです」

加奈の素直な疑問に魔鈴は少し考えて答える

本当は対アシュタロス戦とルシオラ達姉妹を救う為にGSになったのだが、言えるはずもない

ちなみに魔鈴が語った理由は、普通のGSが辞める理由としては比較的良くある理由である

命を賭けてGSをする人など、一般的なGSではほとんど居ないのだ


「GSってそんな危険なんですか…」

死と隣り合わせの仕事だと聞き、加奈は言葉が詰まってしまう

一般人である加奈は、修学旅行で横島と共に襲われたくらいしか経験が無い

あの時も怖かったが、死の危険とは全く別物なのだろうと感じていた


「世間で知られてるイメージよりは大変で危険な仕事ですよ。 確かにGSで成功すれば年収が億を越える人も居ますが、収入が上がれば危険度も上がりますし… 普通のGSは苦労も多いですからね」

一般人から見えない苦労を語る魔鈴の話を、加奈と愛子は静かに聞いていた

華やかに見える魔鈴でさえ危険だと言う業界の奥深さを、二人は改めて感じている


「どこの仕事も大変なのね~」

「まあ、GSは特別ですよ。 魂や妖怪や神魔など、人知を越える存在と向き合う仕事ですからね。 普通の仕事は危険など無い仕事が多いですし、やり甲斐や楽しさもありますよ」

微妙に凹み気味の二人を魔鈴は励ますように、GSは特別だと語る


その後、魔鈴が料理の話に話題を変えて二人は元気に戻っていく

前に横島の弁当で魔鈴の腕前を知る愛子が一度食べたいと言い出して、二人が夕食を食べて帰るなどあったが魔鈴も愛子も加奈も楽しい時間を過ごしたようである



一方横島はと言えば…

「兄ちゃん一緒に話しなくていいの?」

「ああ、めぐみもたまには女同士で話した方が楽しいだろ」

怪しい雲行きに逃げ出して、ケイ・シロ・タマモと遊んでいた


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