その二
「オカルト業界はイマイチ知らないのよね。 六道家には昔声をかけられたけど…」
一通り報告を聞いた百合子は判断に悩む
GSと言えば高給取りのイメージが強く人気の職種だが、特殊な能力が必要な為一般社会とは別だった
歴史的背景から言っても閉鎖的業界なのは今も変わり無く、六道家が唯一と言っていいくらい開放的な業界なのだ
いかに百合子や大樹でも、オカルト業界との関わりはほとんど無い
「結論から言うと、美神令子以外は、特に問題にするべきとこは無いな。 ただ一つ気になるのは完璧過ぎるところかな…」
令子との関わりが無い現在の横島の周辺は問題無いと判断する大樹だが、気になるのは完璧過ぎること
まるで第三者に調べられるのを警戒してるように完璧な対応が目立つ
若い二人の対応にしてはあまりに手慣れている感じがあるのだ
この辺りは問題が無いと言えばそれまでだが、人は相手が完璧なら完璧なほど粗を探したくなるものである
まして欠点が目立つはずの息子の変化には、大樹も違和感を隠せない
「会ってみるしかないわね。 自分の目で確かめない事には納得がいかないわ」
それは親としての心配からなのか、知らぬ間に独り立ちした息子に対しての寂しさと苛立ちなのかわからないが、百合子は自らで全てを見極めようと思う
こうして、百合子は静かに動き出した
一方、横島の高校にも新たな変化が訪れていた
「今度、六道女学院と姉妹校になることになった」
突然担任から言われた現実に横島は唖然としてしまう
「理由はよくわからん。 先方から是非にと言われた以上断れなかったらしい。 まだ詳しく決まってないが、何かしらの相互交流などが行われるだろう」
担任の説明にクラスメートは好意的に受け止めていた
特に男子の喜びはハンパでは無く、昔の横島のように喜ぶ者も居る
「横島さん… 僕は嫌な予感がするのですが…」
「奇遇だな… 俺もだ」
クラスの中で複雑な表情をしていたのは、横島とピートだけだった
「横島君? ピート君?」
二人揃って引き攣った表情をしているのを、愛子は不思議そうに見る
第三者から見れば喜ぶ事はあっても、嫌な事など無いように思うのだ
(またか…、こんな歴史は無かったぞ? あの人は一体何を企んでるのやら…)
この話の裏にはどう考えても六道冥菜がいる
彼女が横島の学校のような普通の公立高校と姉妹校になって意味があるとすれば、自分に関わりがあるだろうことは簡単に推測出来た
「横島君!」
「ああ…、愛子どうした?」
考え込んで返事の無かった横島に、愛子は強い口調で呼び掛けていた
「何か変よ? 六道女学院となんかあるの?」
「まあな… あそこの理事長はちょっと面倒なんだ。 前にGSとして呼ばれた時も大変だったしな…」
心配そうに尋ねる愛子に、横島は微妙に言葉を濁して説明する
相手は百戦錬磨の女傑なのだ
アシュタロス戦を前に敵に回すのは決して得策ではない
(めぐみと相談するしか無いか… この忙しい時に…)
アシュタロス戦まで時間が無く、次の事件も迫っているこの時期に余計な問題を起こす冥菜を横島は疎ましく思う
一通り報告を聞いた百合子は判断に悩む
GSと言えば高給取りのイメージが強く人気の職種だが、特殊な能力が必要な為一般社会とは別だった
歴史的背景から言っても閉鎖的業界なのは今も変わり無く、六道家が唯一と言っていいくらい開放的な業界なのだ
いかに百合子や大樹でも、オカルト業界との関わりはほとんど無い
「結論から言うと、美神令子以外は、特に問題にするべきとこは無いな。 ただ一つ気になるのは完璧過ぎるところかな…」
令子との関わりが無い現在の横島の周辺は問題無いと判断する大樹だが、気になるのは完璧過ぎること
まるで第三者に調べられるのを警戒してるように完璧な対応が目立つ
若い二人の対応にしてはあまりに手慣れている感じがあるのだ
この辺りは問題が無いと言えばそれまでだが、人は相手が完璧なら完璧なほど粗を探したくなるものである
まして欠点が目立つはずの息子の変化には、大樹も違和感を隠せない
「会ってみるしかないわね。 自分の目で確かめない事には納得がいかないわ」
それは親としての心配からなのか、知らぬ間に独り立ちした息子に対しての寂しさと苛立ちなのかわからないが、百合子は自らで全てを見極めようと思う
こうして、百合子は静かに動き出した
一方、横島の高校にも新たな変化が訪れていた
「今度、六道女学院と姉妹校になることになった」
突然担任から言われた現実に横島は唖然としてしまう
「理由はよくわからん。 先方から是非にと言われた以上断れなかったらしい。 まだ詳しく決まってないが、何かしらの相互交流などが行われるだろう」
担任の説明にクラスメートは好意的に受け止めていた
特に男子の喜びはハンパでは無く、昔の横島のように喜ぶ者も居る
「横島さん… 僕は嫌な予感がするのですが…」
「奇遇だな… 俺もだ」
クラスの中で複雑な表情をしていたのは、横島とピートだけだった
「横島君? ピート君?」
二人揃って引き攣った表情をしているのを、愛子は不思議そうに見る
第三者から見れば喜ぶ事はあっても、嫌な事など無いように思うのだ
(またか…、こんな歴史は無かったぞ? あの人は一体何を企んでるのやら…)
この話の裏にはどう考えても六道冥菜がいる
彼女が横島の学校のような普通の公立高校と姉妹校になって意味があるとすれば、自分に関わりがあるだろうことは簡単に推測出来た
「横島君!」
「ああ…、愛子どうした?」
考え込んで返事の無かった横島に、愛子は強い口調で呼び掛けていた
「何か変よ? 六道女学院となんかあるの?」
「まあな… あそこの理事長はちょっと面倒なんだ。 前にGSとして呼ばれた時も大変だったしな…」
心配そうに尋ねる愛子に、横島は微妙に言葉を濁して説明する
相手は百戦錬磨の女傑なのだ
アシュタロス戦を前に敵に回すのは決して得策ではない
(めぐみと相談するしか無いか… この忙しい時に…)
アシュタロス戦まで時間が無く、次の事件も迫っているこの時期に余計な問題を起こす冥菜を横島は疎ましく思う