さて時は前日に戻り、西条も令子の事務所で銀一のドラマを偶然見ていた

横島が出演してるとかなり宣伝していたのでおキヌが楽しみにしていたのを、偶然事務所を訪れていた西条は令子と共に見ていたのだ


「やっぱり納得がいかないのよね…　あんな横島君はおかしいわ」

ドラマに出演する横島を見て令子は考え込む

あれ以来令子はずっと考えているが、やはり横島の変化は納得がいかなく、成長するにしてもあまりにも突然だったと思う


「このドラマはＧＳ協会が全面協力することになったらしいね…　横島君の騒ぎに便乗して業界のイメージアップをしたいらしい」

令子の呟きに西条も少し考えるが、前の横島を知らないためなんとも言えない

そんな西条は最近話題のドラマに関心を示していた


「イメージアップですか？」

「オカルト業界は閉鎖的だからね。　それに除霊料金が高すぎる。　まあ、経費や危険性を考えれば仕方ないんだが、それを一般人に説明もしてこなかった。　一般人からしたら訳のわからない怪しい世界なんだよ」

簡単に一般人から見たオカルト業界のイメージを語る西条の話を、おキヌはドラマを見ながらも興味深そうに聞いている


「ＧＳ協会は魔鈴君と横島君をイメージアップの広告塔にしたいようだ。　最も魔鈴君が嫌がってるようだがね」

何かと業界の裏事情に詳しい西条は、ドラマの裏側で動くＧＳ協会の思惑を暴露していく

ＧＳ協会は以前香港の映画の後、人気の出た魔鈴と横島をイメージアップの広告塔にしようと密かに動いていたのだ

しかし、魔鈴と横島はその話に乗ることは無く立ち消えになっていた

そんなＧＳ協会は今回の横島の騒ぎに便乗して、ドラマを通じてイメージアップの一環にしようとしているようである


「横島さん達も大変なんですね…」

少し寂しそうに呟くおキヌは、話を聞けば聞くほど横島が遠い存在に感じてしまう


「有名になるのは良いことばかりじゃないからね。　様々な誘惑もあるし、利用しようとする人も多い。　まあ、魔鈴君はしっかりしてるから大丈夫だと思うが、横島君は楽じゃないさ」

西条は横島や魔鈴の大変さをある程度理解していた

有名になりチヤホヤされるのはいいが、実際は表に出ない苦労が多い

特にまだ高校生の横島は、何処に行っても注目を集めるためストレスが溜まり大変だろうと思っている

まあこの辺りは未来と違い横島と西条の関係が良好なだけに、同情に近い感情を持っていた



「魔鈴も良くわからないのよね～　初めて会った時にはもう横島君と随分親しかったみたいだし…」

一方考え込んでいた令子は納得がいかないらしく、まだぶつぶつとつぶやいている


「魔鈴君は昔から変わっていたからね。 　僕もそれほど彼女の事詳しく知る訳じゃないし、何とも言えんが…」

令子の疑問に答えるように話す西条だが、彼も魔鈴の事はそれほど詳しくない

イギリス時代は同じ日本として魔鈴と知人だった西条だが、特に仲がいい訳では無かった


「そうなの？」

「ああ、魔鈴君はいろいろと変わってるんだよ。　じゃなきゃあの若さで魔法の研究などしないさ」

少し意外そうに問い掛ける令子に、西条は若干苦笑いして答える

自宅の趣味や魔法の研究など、イギリス時代の魔鈴は変わり者としても有名だったのだ


「ふーん…」

令子は西条の話に再び考え込むが、結局何もわからなかった