その二

それから二日後、カオス達の捜索も実らずとうとう最初の犠牲者が出てしまう

横島や魔鈴を警戒しているのか、犬飼の行動は未来の時とは違っていたのだ

カオス達の捜索が空振りに終わったのはそのせいと思われる


そしてこの日オカルトGメンに、横島と魔鈴は呼ばれていた

他に呼ばれていたのは、令子とエミと冥子と唐巣にピートや雪之丞やタイガーなど、ほぼ未来と同じメンバーである


何故このメンバーになったかと言えば、このメンバーがGS協会でもトップレベルのGSだからであった

魔鈴に犬飼と八房の危険性を散々忠告された西条が、GS協会と協議の結果推薦されたのが結局このメンバーだったのだ


実際には他にも複数推薦されたGSは居たのだが、金にならないオカルトGメンの厄介な仕事を進んで引き受けるGSは居なく

唐巣の弟子になっている雪之丞がメンバーに加わるなど些細な違いはあるが、結局未来と同じようなメンバーになっていた



「と言う訳で、人狼の捜索を頼みたいのだが…」

西条は一通り説明するが、令子やエミの表情は渋い

一方冥子は話半分しか聞いておらず、唐巣は険しい表情で考え込んでいる


「捜索って言われてもね… どうやって探すの?」

令子としては簡単に探せと言われても困る

東京都内だけでもどれだけ妖怪や幽霊が居るかわからない

オカルトGメンご自慢のウルトラ見鬼君も、人狼限定で探すなど不可能なのだ

そんな中、密かに闇討ちする人狼を探せと言われても正直お手上げである


「それに、そんなヤバい人狼相手にどうやって戦うワケ?」

同じくエミも否定的であった

見つけるのすら困難な上、八房相手にはかすり傷でも斬られてはダメだし、一振りで八つの斬撃など捌けるはずがない


「確かにこれでは近付くのは危険過ぎる」

険しい表情で唐巣が見つめるのは、最初の犠牲者の写真と検死の報告書である

あまりの悲惨な写真と報告書に、令子やエミでも眉を歪めていた


「その報告書を見てもらえばわかるが、相手の妖刀はかなり厄介だろう。 捜索するにも人狼を見抜ける霊能者で、なおかつ自分の身を守れるくらいの力があるGSでなければならないんだ」

西条も令子達の言い分は十分理解しているが、他にとれる方法が無いのだ
 
本当は警察などを使った人海戦術が有効なのだろうが、一見人間と見分けの付きにくい人狼を探すのは警察では難しい

しかも相手に大規模に探されてるのを気付かれては、無差別に人間を襲ってくれと言ってるようなものである


オカルトGメンの現状や、横島や魔鈴が頼んだ人狼族への迫害などを阻止する為には、一流のGSで少数精鋭で事件に当たるしか無いと結論を出していた


「人狼の相手は私達がします。 皆さんは発見次第連絡をしてくれるだけで構いません」

ずっと無言で話し合いの状況を聞いていた魔鈴は、この時ようやく話しに加わる


「でもね… オカルトGメンが出来て以来、警察は払いが渋いのよねー それに相手を捜索するだけじゃ手間賃も出ないんじゃないの?」

話を聞けば聞くほどやる気の出ない仕事だとエミは思っていた

退治は魔鈴達がするとしても、発見した人狼を見失わないようにしなくてはならない

人狼相手に監視するなど危険過ぎるのだが、その割にはたいした金になりそうもないのだ


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